スマホ、タブレットで24時間働けますが……
仕事メールを“既読スルー” 休み中なら許される?
いつでもどこでも仕事ができるスマートフォンやタブレットが広がることで、休日でも仕事への対応を求められるケースが出ている。勤務時間外の業務メールを禁止すれば、問題は解決するのだろうか。
スマートフォンとタブレットのおかげで、毎日24時間、仕事の連絡がとても容易になった。あまりにも容易過ぎて、その反動が起きている。
モバイルデバイスは雇用者にとっても従業員にとっても同じくらい便利なものだ。雇用者としては、モバイルワーカーが職場から離れているときも、職場にいるときと同じくらい(それ以上とはいかないにせよ)生産性を上げてくれれば助かる。従業員の方も、デスクに縛られずに柔軟に仕事ができるのはうれしい。
ところが、常に連絡が取れるとなると、ワークライフバランスの問題が出てくる。タッチスクリーンの向こうに、いつも上司や同僚や顧客がいるような状態では、勤務時間外だという実感が持てず、ストレスを感じたり、極度の疲労から喪失感に陥ったりしやすくなる。
「この点は、雇用者にも従業員にも不利益になる」と、非営利人材開発団体の米WorldatWorkでワークライフ実習ディレクターを務めるローズ・スタンリー氏は話す。
フランスの一部の業界は、この問題に真っ向から立ち向かう新しい計画を打ち出した。従業員が勤務時間外に業務メールをチェックすることを禁ずる労働協約に、IT業界とコンサルティング業界の労働組合と、企業側が署名したのだ。この協約は、所定勤務時間外のメール使用を控えることを労働者の義務として定めている。また、常に連絡を取れるようにしておくよう部下に働き掛けることも禁じた。
勤務時間外のモバイルメールの禁止措置は、米国の多くの雇用者と従業員にも歓迎されそうに思える。米Boston Globe紙の取材に答えた1人の管理職は、夜中に業務メールを送ることが多く、「これではいけないと思っている。けじめがついていないことを周囲に言いふらしているようなものだ。あまり給与の高くない非営利組織の職場に不当な期待を押し付けかねない。自分は悪い見本になってしまっている」と述べた。
ただ、今の世界経済においては業務が止まることなく続き、従業員も顧客もパートナーもさまざまな時間帯の地域に広がっていることを考えると、こうした禁止措置の浸透は現実的とは思えない。一般的な勤務時間帯とは異なる時間帯に業務を行う方がよい仕事もあり、禁止措置ではその点も配慮されていない。
ワークライフバランス問題を解決するには
企業側は、柔軟な勤務形態が従業員に与えるプラス効果についてほぼ一致している。前出WorldatWorkの2013年の調査によると、圧倒的大多数の回答者が、従業員の満足度と意欲と仕事ぶりに与えた影響は「良い」または「非常に良い」と答えたという。
これが生産性への影響となると、回答は曖昧になる。従業員が時間外にどれくらい仕事をこなしているかという問いについては、半分以上の雇用者がはっきり分からないと答えた。36%の雇用者が、在宅勤務者の生産性は、職場で仕事をする従業員と変わらないと答えたが、在宅勤務者の方が生産性は高いと答えたのはわずか8%だった。
重要なのは、勤務形態の柔軟性を高めたからといって仕事とプライベートの区別がなくなるわけではないという点だ。従業員と雇用者がこの区別を見失ったときに問題が始まる。従業員のストレスや喪失感は、欠勤率の上昇や健康問題にまで発展し、ひいては医療費の増大を招くことになる、とスタンリー氏は述べた。
企業は、ワークライフバランスを義務付けるより、それを社会規範にする取り組みに力を入れるべきだ、とスタンリー氏は話す。勤務時間外のメールを無理やり禁ずる規則を作るよりも、従業員の自由時間を尊重し重視する声明を企業理念に加える方がいいという。
「(ワークライフバランスは)必ずしもポリシーにする必要はない。文化にするべきだ」(スタンリー氏)
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