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モバイルアプリに注力するスターバックス、POS端末はDOSベースだったシステムリプレース計画も公開

米Starbucksは顧客中心のテクノロジーを掲げてモバイルおよびバックオフィスの刷新を続けている。「店内でより快適な時間を過ごしてもらいたい」と語る同社ティーグル氏の次の戦略は?

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 米Starbucksが現在重視している主な分野は、顧客が同社の店舗で利用するテクノロジーと、バックオフィスの大幅な刷新だ。テクノロジーに敏感な顧客が増えている上に、事業の拡大も続いているからだ。

 小売業者にとって厳しい状況が続く中、Starbucksはテクノロジーに対する投資を継続している。特にモバイル分野のプロジェクトは、CEOのハワード・シュルツ氏もかねてより力を入れていたため、優先して取り組んできた。

 同社のIT戦略を推進しているのは、ロバート・ティーグル氏だ。StarbucksはEMEA(Europe、Middle East、Africa)の30にも及ぶ国や地域の市場に進出し、経営を続けている。ティーグル氏が率いるITチームは、英国、アムステルダム、フランス、ドイツなどの各地に分散して、EMEA地域全体をサポートしている。同氏が打ち出す戦略の核となるのは、顧客中心のテクノロジーだ。

 「当店のお客さまは、社会生活でもモバイルの世界でも非常にアクティブな方が多い。だからテクノロジーは当社の業務の中で中心的な位置を占めている。例を挙げると、お客さまが各店舗で利用できる無料の公衆無線LANや当社のモバイルアプリなどがある」とティーグル氏は本誌Computer Weeklyに語る。

 「われわれの仕事はこれら全てを確実にサポートすることだ。どこと比較するべきなのかうまく思い付かないが、当社を他の外食チェーンと比較するとすれば現在の外食チェーンは恐らく、当社と同様にテクノロジーを積極的に業務に活用しようと努めているグループとそうでもないグループに分かれる。われわれは前者に含まれるし、その立場でできるだけ多くのものをお客さまに提供していきたい」(ティーグル氏)

モバイル戦略の進化

 Starbucksは2種類のアプリによって、米国、英国を含めた主要な市場でモバイル戦略を強力に推し進めている。このアプリは現在、3回目のイテレーション(開発プロセス内の反復サイクル)に入っている。iOS版とAndroid版が用意されているが、機能がより充実しているのはiOS版だ。

 インターネットを利用したオンラインショッピングの人気が高まるにつれて、Starbucksがその大半の店舗を構えている繁華街やショッピングセンターに買い物に出掛けるコンシューマーが減っている。そこで同チェーンは、この風潮に対応するための機能をアプリに導入した。2014年中にさらに機能を追加する計画もある。

 「モバイルは、お客さまとわれわれとの間の交流を図る手段だ。現在公開しているモバイルアプリはロイヤルティー(顧客忠誠度)を高める点ではよくできていて、ロイヤルティーの基盤と言ってもいい。アプリへのユーザー登録、店へのアクセス、来店回数のカウント、ショッピングの支払いにモバイルアプリを利用できるようにすること、これら全てをアプリ上で操作できる。現在われわれが注目しているのは、モバイルのチャネルを利用したパーソナル化や、当チェーンのお客さまとのコミュニケーションなどだ」とティーグル氏は語る。

 モバイルアプリの機能の一例を挙げると、Starbucksは「クリック&コレクト」サービスを実施している。このサービスを利用すると、顧客はStarbucksのモバイルアプリであらかじめ注文しておき、指定した時間に店舗に行けば品物を受け取ることができる。このサービスは、店頭でオーダーの順番待ちをする顧客の列を短くすることを狙ったものだ。既に、このサービスは一部の主要市場で展開中だが、ヨーロッパにも拡大する予定だとティーグル氏は話す。

 「目標は、なるべく多くの機能をモバイル環境で実現することだ。2〜3年前に店内にテレビ画面を設置するかどうかを検討した際、画面付きのデバイスを持ち込んで店内で使うお客さまが多いと気づいた。だからわれわれはそんなお客さまのためのモバイルツールを提供して、店内でより快適な時間を過ごしてもらいたいと考えた」と同氏は語る。

 顧客に利用してもらうハイテク関連の設備といえば、Starbucksはもう何年も前から、店舗で無料の公衆無線LANを提供している。しかしティーグル氏は、顧客がこのサービスを利用する方法が最近変わってきていると感じている。

 「最近の1年から1年半の間で、データのアップロードの利用が急激に増えていると分かった。そこでわれわれは市場を調査して、帯域幅の使い方がカギだという結論に達した」と同氏は語る。

 「無線LANが提供されている店でも接続状況が良くなければ、私ならそこにはもう二度と行かない。こうしてお客さまは離れていく。もし無線LAN環境を改善することで(お客さまの行動の変化が)実現するのなら、自分たちはそれに取り組む」(ティーグル氏)

 ティーグル氏によると、同社のITチームは、顧客が直接利用する環境に適用するテクノロジーを進化させることについて、経営陣と日常的に話し合っているという。

 「『店内でお客さまが利用するテクノロジーについて、われわれにできることはもっとあるのではないか』と、常に議論をしている。(本拠地の)米国では、レジの改良などパイロットプロジェクトを何度か試してきた。実践を重ねることで、気付くことが多いし、アイデアもたくさん浮かぶ」(ティーグル氏)

革新ではなく進化

 ここ最近の、そして将来に向けてのモバイル体験の改善は、Starbucksが過去に基本的な部分のテクノロジーを大幅に刷新してきたからこそ実現できているといえそうだ。

 「直近の3〜5年で、当社は重点的にバックオフィス機能を向上させてきた。時代の要求に応えるためのモダナイゼーションを継続すると同時に、当チェーンのお客さまに直接影響を与えるような、店頭で展開するテクノロジーのプロジェクトも進めていく」とティーグル氏は語る。計画には、ヨーロッパ全土の店舗にある4万2000台のレジのリプレースも含まれる。




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