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「スマートフォン/タブレット不要論」が会社をダメにするシェラトンホテル、デルタ航空も積極活用

イノベーションに後ろ向きの企業は、他社との差異化ができなくなる――。さまざまな業種/業態で最新技術を取り入れる動きが進む中、もう企業は「安定志向」ではいられない。

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 急激な技術革新が進行中の現在、企業のIT部門は自社の競争力を獲得するために、新しいデバイスやソフトウェアのアップグレードをより迅速に展開することを余儀なくされている。

 IT部門に対するこの圧力の一因は、モバイル端末、クラウドサービス、ソーシャルメディア、ビッグデータなど、業界の有識者が「第3のテクノロジープラットフォーム」と呼ぶものにある。「こうした分野全ての成長は、世界中のIT支出の増加に伴い加速するだろう。2014年のIT支出は、2013年と比べて5.1%増加し、全世界では2兆1400億ドルに達する見込みだ」と、米市場調査会社IDCは指摘する。

 「イノベーションに後ろ向きの企業は、遠からず他社との差異化ができなくなる」と、IDCが開催した2014年を予測するWebキャストの中で、同社上級副社長兼主席アナリストのフランク・ジェンズ氏は語る。

 ジェンズ氏は、「企業は業務プロセスの短縮化の流れに順応し、実践するしかない」と指摘する。

 米Microsoftを例に取ると、同社は少し前までは技術アップデートをなかなか公開しなかったが、今ではアップグレードサイクルをかなり短縮している。

技術革新を推進し、導入を加速させるのはエンドユーザー

 速い進化のペースを受け入れて、新しい技術を導入する企業もある。こうした企業の経営幹部とIT部門は、長年の価値観を見直し、企業間の連携を深める必要があると実感している。全ての関係者の要求を受け入れつつ、組織の最終的な事業目標を達成するために、テクノロジーをどう活用できるかを理解するためだ。

 実際に、米ホテルチェーンStarwood Hotels & Resorts Worldwideの上級副社長であるホイト・ハーパー氏は、同社のIT部門に働き掛けて、生産性の向上とワークフローの改善を図っている。「ITチームを急き立てるのが私の仕事だ」と同氏は言う。

 Starwoodのブランドの1つであるSheraton Hotels & Resortsでは、業務端末のOSとしてWindows 7を利用している。さらに、Windows 8搭載のキオスク端末やタブレットを客室に配備して、宿泊客に利用してもらう準備を進めている。ホイト氏によると現時点で、北米にあるStarwoodのホテルのうち20%でWindows 8を利用しており、同社ではWindows 8.1をホテル用にカスタマイズする作業が進行中だ。

 「新しいテクノロジーを当ホテルの顧客に利用してもらい、それぞれの顧客に合った体験を作り出すのが目標だ」と同氏は付け加える。

 こうした新しいテクノロジーを導入する際、各関係者に他者のニーズを把握した上で作業を進めてもらうために、ホイト氏はIT部門と密接に連携する必要があった。ホイト氏自身は、セキュリティ関連の要件に特に気を配っているという。

 「外部から当社システムへのアクセスを許可する際には、チェックを徹底的にしている」とホイト氏は語る。「機能性と互換性もさることながら、セキュリティとプライバシーに最大の注意を払っている」(同氏)

 業務にモバイル端末を取り入れることがすぐには難しいIT部門もあるだろうが、もはや選択の余地はない。米Delta Air Linesは2013年、約18キロもの重さがあるパイロット用飛行計画マニュアルに代えて、Microsoftのタブレット「Surface 2」1万1000台を配備した。また、客室乗務員には1万9000台の「Windows Phone」を貸与した。

 Delta Air Linesでは通常、ITプロジェクトには最長1年をかける。だがこのプロジェクトでは10カ月と強気の期限を設定したと、同社のIT部門の関係者は匿名で明かす。

 技術革新の加速を求める声に加えて、新しいモバイルテクノロジーの導入を迫る社内の他部門の関係者からの圧力もあったが、この関係者にとっては、それは苦にならなかったという。「何事も慣れだ」と、この関係者は続ける。

 一方、新しいテクノロジーの早期実現というプレッシャーをベンダーに与えていることに、不安を感じる声もある。

 「『OSのバージョンアップをもっと早く、頻繁にしてほしい』と願う顧客やIT担当者に、私は会ったことがない」と、米コンサルティング会社Directions on MicrosoftでOS調査担当の副社長を務めるマイケル・チェリー氏は語る。「IT部門が望むのは、安定性、予測可能性、信頼性、セキュリティだ」と同氏は付け加える。

 「技術革新は、少しずつ進化させながら起こすべきものだ」とチェリー氏は警告する。

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