ハイパーバイザーとの違いは? 「コンテナ技術」を活用する5つのメリット/デメリット:Gartnerが提言する(2/2 ページ)
コンテナ技術は迅速なスケーラビリティ、柔軟性、使いやすさを保証するが、全てのワークロードに適しているわけではない。
4.手に負えなくなる可能性
ハイパーバイザーベースの環境でVMライフサイクル管理が重要な場合、コンテナのライフサイクル管理は極めて重要になる。コンテナは驚異的な速さで起動および複製できる。これはコンテナの重要なメリットだが、気付かないうちに大量のコンピューティングリソースを消費する可能性もある。アプリケーションの構成要素であるコンテナが不要になったときに、コンテナが停止または削除されるなら問題ない。コンテナ化したアプリケーションをスケールアップして、後で元に戻すことを忘れた場合、企業は膨大かつ不要なクラウドコンピューティングのコストを負担することになる。クラウドプロバイダーはコンピューティング能力を貸与することで利益を得ているため、このような事態が発生しても一向に構わない。そのため、コンテナの導入状況を確認する責任はユーザーにある。
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5.ツールの不足
コンテナの監視と管理に必要なツールの種類は、依然として不足している。これは今に始まったことではない。ハイパーバイザーベースの仮想化の黎明期には、適切なツールの不足が顕著だった。現在では、有用なVMの監視ツールと管理ツールが簡単に利用できるようになったように、コンテナを管理するための新しいツールも提供され始めている。例えば、米Googleが提供するオープンソースのDocker管理ツール「Kubernetes」、Webベースのフロントエンドを使用してLinuxコマンドラインの機能を置き換える「DockerUI」、コンテナのログを一元管理された場所にルーティングする「Logspout」などがある。
VM内でコンテナを使用し、VMツールの監視機能と管理機能を活用することで、管理者は適切なコンテナツールが不足している現状を回避できるとビットマン氏は提案する。VMツールは、コンテナツールより成熟していて豊富な機能が用意されている。そのため、コンテナツールが成熟するまでは、適切な代替ツールとして機能するだろう。
ビットマン氏はコンテナに対してかなり熱心に取り組んでおり、コンテナについて幾つかのことを明言している。コンテナは高密度とスケーラビリティを実現することを目的とする高速で軽量な導入であること、ネイティブ(仮想化されていないI/O)でより高いパフォーマンスが得られること、Dockerなどのすぐに利用できる開発フレームワークがあること、GitHubなどの共有およびコラボレーション用の有名なツールがあることを保証している。だが、コンテナは全ての仮想タスクを対象とするユビキタスなソリューションではない。そのため、仮想化ツールボックスには新たなツールが追加されることになるだろう。そして、この追加のツールは、多くの従来のVMと上手く連動することが予想される。
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