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企業における効果的な「クラウドストレージ」利用方法

クラウド技術を利用したさまざまなサービスが登場する中、ストレージ分野におけるクラウドサービスの効果的な利用方法が明らかになってきた。

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クラウドサービスの1つ「クラウドストレージ」

 最近、「クラウドコンピューティング」(以下、クラウド)という言葉を見たり聞いたりしない日はないだろう。しかし、その言葉が何を意味するのかについて、これまではその定義がまちまちだった。現在は、NIST(米国立標準技術研究所)の定義が定着してきた。NISTのクラウドの定義では、5つの特性、4つの導入モデル、3つのサービスモデルを挙げている。

5つの特性

  1. オンデマンドベースのセルフサービス
  2. 広域なネットワークアクセス
  3. ロケーションに依存しないリソースプール
  4. 迅速な拡張性
  5. 測定可能なサービス

4つの導入モデル

  1. パブリッククラウド(Public Cloud)
  2. プライベートクラウド(Private Cloud)
  3. コミュニティークラウド(Community Cloud)
  4. ハイブリッドクラウド(Hybrid Cloud)

3つのサービスモデル

  1. SaaS(Software as a Service)
  2. PaaS(Platform as a Service)
  3. IaaS(Infrastructure as a Service)

 SaaSの代表例としては、電子メールやSFA(Sales Force Automation)、CRMなどを思い浮かべる方が多いだろう。またPaaSやIaaSは開発環境やWebサービスプラットフォームとして使用されている。

新しいデータ階層としてのクラウドストレージ

 そもそも「クラウドストレージとは何か?」と感じる方も多いだろう。SSD(ソリッドステートドライブ)を新しい階層として採用するストレージの階層化によって、ストレージシステムの性能向上とグリーン化を実現する。米国では、それに加えてもう1つの新しい階層としてクラウドストレージが認知されつつある。

ストレージ階層化
  構成例
従来の階層 階層1 15Kファイバーチャネル/SASディスクドライブ
階層2 7.5K ATA/SATAドライブ
階層3 テープドライブ
これからの階層 階層0 SSDドライブ
仮想階層
クラウド階層

 クラウドストレージの実用例には、Amazonのクラウドサービス群「S3(Simple Storage Service)」「EBS(Elastic Block Storage)」「Simple DB」などが挙げられる。クラウドストレージの普及が先行している米国では、他のサービスも一般的に利用されている。クラウドストレージに求められているのは「俊敏性(即時性)」「購入/構築コストおよび運用コストなどの経済性」に対する期待であろう。それらは他のクラウドサービスに求められている理由と異なるものではない。

 クラウドストレージは「データの保存に必要なストレージの容量をその要求に応じて、その制限を意識せずに運用管理の負担がなく、簡単に利用できるサービス」と定義できる。また、クラウドストレージはデータ保存機能をネットワーク経由で提供するため、IaaSの一種として「Storage as a Service」「Data Storage as a Service」という名称で分類されることもある。

クラウドストレージの3つのユースケース

 クラウドストレージのユースケースとしては「バックアップクラウド」「長期アーカイブクラウド」「ストレージクラウド」の3つがある。

バックアップクラウド

 バックアップクラウドとは、データバックアップのターゲットメディアが外部のクラウドサービスになる形態である。

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バックアップクラウド

アーカイブクラウド

 企業が保有するデータは法規制などで長期にわたるデータ保存が義務付けられている場合があり、そのアーカイブ先としてクラウドが利用できる。アーカイブクラウドには「ILMの最後の階層として、外部のクラウドサービスを利用する」「ポリシー(何らかの条件)に従って、外部のクラウドサービスにデータやファイルをアーカイブする」という2つの形態がある。

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アーカイブクラウドの形態

ストレージクラウド

 ストレージクラウドとは、業務アプリケーションが利用するデータの保存先として、外部のクラウドサービスを利用する形態のことを指す。アプリケーションデータクラウドと言い換えてもよいだろう。社内のストレージと併用する場合もある。

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ストレージクラウド

クラウドストレージの検討要素

 クラウドサービス利用の懸念として挙げられるセキュリティ対策については、十分に信頼されるサービスプロバイダーを利用することが前提となる。クラウドストレージ利用の検討要素として「データ容量」「レイテンシ(アクセス待ち時間)」「コスト」の3点が挙げられる。

 バックアップクラウド、アーカイブクラウドでは、容量とコストが重視される。また、アーカイブクラウドはバックアップクラウドと比較して、その利用期間や保存するデータ量などの観点で、より大容量かつ低コストであることが求められる。ストレージクラウドではレイテンシが許容範囲であることが優先項目となり、その上で容量とコストを検討することになる。

企業のクラウドストレージ利用の今後

 クラウドストレージの利用については、日本では個人がデジタルカメラなどで撮影したデータを保管するなど、主に民生用途としての実績がある。しかし、企業利用に関してはまだそれほど導入実績がないのが現状だろう。多くのサービスプロバイダーがサービスメニューの1つとしてストレージ機能を提供しているが、自社データをマルチテナント型の外部サービスに保管することに関する懸念があるだろう。それが企業での普及の足かせになっているのかもしれない。

 しかし、地震や津波などの自然災害、悪意を持った外部からの侵入などによるデータ損失や破壊、流出などのリスクを考えると、今後はクラウドストレージの利用も企業のデータ保護・管理対策における有力な選択肢の1つになるだろう。その検討の際には「信頼でき、かつコスト効果の高いストレージクラウドサービス」であることが必須条件となる。

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