J・フロントリテイリングが「G Suite」を1万人規模で利用 社内普及の方法とは:新システムの社内普及に「チェンジマネジメント」を導入
J・フロントリテイリングは、全国の拠点で働く1万2000人のグループ従業員に向けて「G Suite」を導入した。新しいシステムを早期に定着させるために、同社が導入したのが「チェンジマネジメント」と呼ばれる手法だ。
百貨店の大丸や松坂屋、ファッションビルのパルコなどを運営するJ・フロントリテイリングは、2017年7月から全社的にGoogleのオフィススイート「G Suite」を利用している。約1万2000人のグループ従業員がスムーズに旧システムからG Suiteへ移行し、オフィススイートやコラボレーション機能を利用できるようにするために、同社は「チェンジマネジメント」と呼ばれる手法を導入して社内普及を推進した。
J・フロントリテイリングは、いかにして社内にG Suiteを定着させたのか。チェンジマネジメントに基づいた普及施策について説明する。
G Suiteへの移行はメーラーの容量不足がきっかけ
業務効率化と組織の生産性向上、そしてイノベーションの促進を軸にした働き方改革を推進しているJ・フロントリテイリング。同社は働き方改革における課題を特定するために、従業員約7000人にアンケートを実施した。その結果、働き方以前に、当時利用していたメーラーに課題があることが明らかになった。
J・フロントリテイリングで事業開発統括部の新規事業担当を務める土屋真弓氏は、当時社内で使用していたメーラーは容量が小さく、そのことが従業員の負担につながっていたと話す。同社は容量増加を抑える策として、受信から2カ月が経過したメールを自動的に削除する設定にしていた。それでも容量の上限に近づいてしまい、毎朝メールを確認して削除している従業員も少なくなかったと土屋氏は話す。
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百貨店での情報伝達も課題だった。店頭のマニュアルやシフト表、通達事項は紙での伝達が中心。印刷や配布に手間がかかり、リアルタイムでの情報共有が難しかった。
J・フロントリテイリングはこうした課題を解決する手段として、情報共有システムの見直しに着手した。その中核要素として導入したのがG Suiteの「Business」エディションだ。選定理由として土屋氏は、メーラーとストレージの容量が無制限である点と、コラボレーション機能の豊富さを挙げる。J・フロントリテイリングとGoogleが共に、イノベーションを促進する企業体質を持つ点も大きかったという。
チェンジマネジメント手法の4つの要素
新システムの導入時には、いかにしてそのシステムを社内に浸透させるかという課題が付きまとう。J・フロントリテイリングが社内浸透の手段として使用したのが、チェンジマネジメントだ。グーグルの山田理禾(あやか)氏は、チェンジマネジメントについて「組織内の変化をスムーズに進めるための手法」だと説明する。
山田氏は、チェンジマネジメントの柱として以下の4つの要素を挙げる。
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