MongoDBとAmazon DocumentDBの関係に見るオープンソース支援の在り方:オープンソースとクラウドプロバイダー(前編)
MongoDBが自社の収益を守るためライセンスを変更した。するとAWSはMongoDB互換サービス「Amazon DocumentDB」を発表した。
2019年1月、Amazon Web Services(AWS)が「MongoDB」互換のフルマネージド型データベースサービスを発表した。AWSの幅広く細部にまで及ぶ取り組みを考えると、この新しいサービスはMongoDBのビジネスモデルに深刻な影響を及ぼす可能性がある。
AWSが発表したのは「Amazon DocumentDB」という、MongoDBと互換性があるサービスだ。Amazon DocumentDBは高速かつスケーラブルで、可用性の高いフルマネージド型ドキュメントデータベースサービスで、MongoDBのワークロードをサポートするという。
AWSのサービスとして運用する同社の動きは、MongoDBやその他のオープンソースデータベースのライセンス方式が変更されることに呼応しているように思える。
2018年10月、MongoDBの設立者兼CTOを務めるエリオット・ホロウィッツ氏は、同社の収益がパブリッククラウドプロバイダーに食い逃げされるリスクを受けて、MongoDBのオープンソースライセンスを変更。収益を保護するため、「Server Side Public License」(以下、サーバサイドライセンス)を導入した。
ルールを曲げる
MongoDBがライセンスを変更し、クラウドプロバイダーがそのサポート収益源を奪えないようにした制約を、Amazon DocumentDBが都合良く回避しているという事実は、オープンソースコミュニティーで許容される行動のルールをAWSが曲げている可能性があることを示している。
MongoDBのホロウィッツ氏が指摘するように、オープンソースを実現するには企業によるサポート収益が必要となる。現在進行中のOSSプロジェクトの開発にはそうした資金の提供が不可欠だ。これまで、パブリッククラウドプロバイダーはコードを取得し、広大なインフラのマネージドサービスの一部として自由に配布できた。
Redis LabsとMongoDBが最近行ったライセンスの変更は、これに終止符を打つ。現時点では、AWSはMongoDBのサーバサイドライセンスを取得してMongoDBの企業努力をサポートするのではなく、Amazon DocumentDBの基礎を完全にオープンソースのMongoDB APIにすることで、サーバサイドライセンスとCommon Clauseのライセンス制約を回避する方法を見つけたように思える。
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Seeking Alphaの財務ブログサイトに掲載されたMongoDBの2018年第3四半期の収支報告で、MongoDBの社長兼CEOのデブ・イッティチェリア氏は次のように述べている。「現在この業界でどれほど多くのクラウドプロバイダーが実際にオープンソース(オープンソースコミュニティー)に貢献しているかについて多くの議論が交わされていると考えている」
「クラウドプロバイダーは、自社のクラウドプラットフォームにプラグインするオープンソースプロジェクトを利用して収益化することには長けている。だが、特に研究開発の比率を見ると、その収益をコミュニティーに還元することには長けていない」
「当社の研究開発の約半分は無償のCommunity Serverに向けられている。これに近い研究開発を行っているクラウドプロバイダーはない。コミュニティーに還元されているのは、(研究開発の)1%程度だと思われる」
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