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演算機能を搭載したHDD/SSD「コンピュテーショナルストレージ」登場か演算するストレージのメリットとは?

HDDやSSDのドライブに現状のコントローラー以上の演算能力を与える「コンピュテーショナルストレージ」がSNIAで検討されている。

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 コンテナ技術が普及し、導入されていない場所を探すのが難しいほどだ。さらに、ハードドライブ(訳注)とコンテナ技術についてもSNIA(Storage Networking Industry Association)の技術ワーキンググループ「コンピュテーショナルストレージ」が研究中だ。

訳注:原文は「hard drive」。本稿ではHDDとSSDを含めた「ドライブ単位のストレージ機器」の総称として使用している。

 ハードドライブにコンテナ技術を導入するというアイデアはシンプルに見える。ストレージ機器にはデータ管理タスクを処理するマイクロプロセッサが搭載されている。このマイクロプロセッサに処理能力と作業メモリを追加して、他のタスクを処理させてはどうだろうか。数年前までは困難だった。マイクロプロセッサは出荷後に再プログラミングできるように設計されていなかったからだ。だがコンテナ用のドックを追加することで、この作業が容易になる。

 もちろん注意すべき点は幾つかある。標準的なハードドライブはプロセッサリソースに余裕がない。複数のコンテナに対応するのは難しいかもしれない。M.2など小型の機器は、そもそもコンテナ自体に対応できない可能性がある。

 ストレージ業界に精通するSNIAの取締役ロブ・ペグラー氏と話していたとき、あることに気付いた。SNIAはコンピュテーショナルストレージの「コンピュテーショナル」の部分しか見ていないことだ。つまりストレージ固有のコンピューティングタスクにしか目を向けていない。

多数の処理を抱えるストレージ

 ストレージ固有のコンピューティングタスクは当初の想定よりも拡大している。データ圧縮、RAIDパリティーやイレージャーコードペアの計算などの明らかに関連のあるタスクはもちろん、ビデオの符号変換までもが含まれる。例えば「FFmpeg」(訳注)などを使って、音声や動画を圧縮して格納するといったタスクだ。

訳注:動画や音声を記録、変換、再生するフリーソフトウェア。

 演算機能を備えたハードドライブが、同じPCIeサブシステムを利用する演算機能のないハードドライブにピアツーピア(P2P)サービスを提供することもできる。P2Pサービスによって、単一コンテナの制限に対処する方法が得られるかもしれない。そうすれば、各コンピュテーショナルストレージに一定の目的を持たせられるだろう。異なる処理能力を持った複数のハードドライブが、その能力をPCIe経由で共有できる可能性もある。

 インテリジェントで処理能力のあるハードドライブは実在する。具体的には、Eideticom(Eidetic Communications)、NETINT Technologies、NGD Systems、ScaleFluxが提供している。だがペグラー氏が警告するように、標準化の作業は継続中で、エコシステムの育成は不十分だ。コンピュテーショナルストレージは分散型の処理なので、オーケストレーションが欠かせない。ストレージ関連のアプリケーションは、オーケストレーションを活用するための調整が必要になる。「ソフトウェア業界が丁寧なガイドを提供することを期待している」とペグラー氏は言う。

大きなメリットはドライブI/Oのオフロード

 その名に似つかわしくないが、コンピュテーショナルストレージの2つ目のメリットは演算処理のオフロードだ。だがさらに重要なことがある。全てのストレージ処理タスクは、プロセッサとストレージ機器の間でデータを大量にやりとりする必要があることだ。つまり大量のI/Oが発生する。

 システム全体の処理速度が上がるにつれて、I/Oの遅延が目立つようになる。その結果、I/Oの遅延を緩和する方法を探す必要に迫られる。例えばコンピュテーショナルストレージ以外に、不揮発性メモリ(NVM:Non-volatile Memory)がある。前者はストレージ固有の処理のI/Oをハードドライブ(PCIeサブシステム)内で行うが、後者はメインストリームタスクのI/Oを削減する別の方法を提供する。

 NVMは、プロセッサの隣のスロットに高速な永続ストレージを配置する。それによりI/Oはメモリバスに保たれる。

 NVMとコンピューティングストレージは異なるニーズに対応する。この両方を搭載するシステムが誕生する可能性は非常に高いだろう。

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