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ハイパーコンバージドインフラ(HCI)導入時に多い6つの失敗「こんなはずではなかった」になる前に

多くの企業が課題解決を期待してハイパーコンバージドインフラを導入する。だが、考慮すべき点をわずかに見落としただけで、無残な結果をもたらす。失敗を避けるには、以下の6つの事項を検討すべきだ。

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 ハイパーコンバージドインフラ(HCI)はコンピューティング、ネットワーク、ストレージを1つの仮想化システムに組み合わせ、導入、管理、スケーリングを容易にする。だが、HCIに全くリスクがないというわけではない。多くの企業が、HCIを調達、導入する際にさまざまな失敗を犯している。そこでよく起こる問題に注目して、問題を回避したり最小限に抑えたりするための最善の方法を考える。

 HCIがデータセンターの不都合な部分全てに対する特効薬になると考える企業は多い。確かに、HCIは展開とプロビジョニングにある程度の柔軟性をもたらす。だがそれでも管理を必要とする要素は存在する。

ストレージに関する配慮が不十分

 Park Place Technologiesでイノベーション部門の責任者を務めるポール・メルシナ氏は、コンピューティング、ネットワーク、ストレージを1つの筐体に統合することは、データセンタースタッフのサイロを崩すことにもなると指摘する。

 HCIはコンピューティング、ネットワーク、ストレージにビルディングブロック方式のアプローチを提供する。だが、一定量のコンピューティングリソースに一定量のストレージリソースを組み合わせることが多い。それがHCIの大きな課題の一つだ。

 「ストレージの必要量を少なく見積もると、後でノードを追加することになる。だが追加ノードにはコンピューティングも含まれるため、企業のニーズを超えるコストがかかることになる」(メルシナ氏)

 こうした点が、ビッグデータ分析や人工知能アプリケーションにはHCIが適さないと考えられる理由の一つになっている。これらの用途は他のユースケースとはコンピューティングリソースとストレージリソースの比率やスケーリングのバランスが異なるからだ。

 HCIを分解してコンピューティングとストレージを個別にスケーリングできるようにすることで、HCIをさまざまなユースケースに応用できるようにしているベンダーもある。

 HCIの各ノードをストレージノードまたはコンピューティングノードとして指定できるものもある。ストレージノードはCPUとデータを移動できるだけのメモリを備える。コンピューティングノードはローカルワークロードをサポートできるだけのストレージを備える。

ネットワークニーズの判断ミス

 パフォーマンスの低いネットワークでHCIを運用すると、レイテンシが大きくなる恐れがある。ハイパフォーマンスクラスタとしてHCIを最大限に活用するには、ネットワークの強化に投資する必要がある。

 HCIのアーキテクチャに対応できないアプリケーションもある。ローカルストレージのI/Oが多いアプリケーションや高いネットワークスループットを必要とするアプリケーションがその例だ。

 CohesityでSEマネジャーを務めるエザット・ダイエ氏は次のように話す。「重要なアプリケーションやデータベースがHCIにやや課題をもたらすことがあった。パフォーマンスと処理に関するTier 1のニーズを満たすためにHCIノードをスケールアップしたり最大化したりすると、I/Oにボトルネックが生じることがあった」

 こうした問題は必ず起きるわけではないとダイエ氏は指摘する。クラスタ内でインテリジェントにデータを配置し、全てのノードにデータを分散すればI/Oのボトルネックは回避できる。

スケールアップへの配慮点

 IT部門は、将来のスケールアップで混乱が生じるのを避ける必要がある。そのため、HCIの展開を現在のニーズに基づいて行ってはいけない。

 3〜4年先のニーズを考えるのが最善だ。つまり、多くのアプリケーションを運用できる技術の利用、将来のワークロード要件の把握、将来のデータ増加の予測が必要になる。

ハードウェアベースのHCIとソフトウェアベースのHCI

 HCIはアプライアンスの形で購入することが多い。だがそれは最善の方法だろうか。

 ハードウェアベースのHCIとソフトウェアベースのHCI、どちらを選択すべきか。それは解決しようとしている問題によって決まる。ハードウェアベースのHCIは導入が容易だ。導入を迅速に行うことが目的ならハードウェアベースのHCIを選ぶのが適切だ。

 ソフトウェアベースのHCIは柔軟性が高い。必要であればハードウェアベンダーを変えることもできる。だが自社で対処しなければならないため、導入には多くの労力が必要になる。

ベンダーロックインの回避

 1社のベンダーからハードウェアとソフトウェアをまとめて購入すると、ベンダーロックインの問題が生じる恐れがある。これはイノベーションの妨げになるかもしれない。ストレージソフトウェアもロックインの問題をもたらす恐れがある。

 「ソフトウェアベースのHCIを選んで購入し、自社のハードウェアで運用する場合、自社と結び付きのあるベンダーのストレージを購入する可能性は高い。それによってベンダーロックインが生まれる可能性がある」とメルシナ氏は言う。

 代わりの選択肢として、オープンソースのHCIがあると同氏は補足する。「オープンソースで代用することに魅力を感じる企業もあるが、オープンソースHCIではHCIを検討した当初の理由だった簡潔さが失われると考える企業もある」(メルシナ氏)

複数ベンダーとHCI

 HCIに移行する大きな理由の一つが統合だ。ストレージ層を取り除いてストレージをコンピューティング層と組み合わせることで、コスト面でのメリットが得られ、占有スペースも少なくなる。だが特定のHCIを求めて別のベンダーを利用すると、複雑さが増す恐れがある。

 OEMのサポートプロセス、保証範囲、細則などがそれぞれ異なると、データセンター管理者の多くがこうした複雑さをサポートすることに大きな不満を抱えることになる。それにある問題に複数ベンダーの機器が関わっていると、責任転嫁の心理が生まれる。

 「導入段階だけでなく、メンテナンスにも配慮する必要がある。利用しているベンダーに新たなベンダーを加えたいかどうかも考えなければならない」(メルシナ氏)

ソフトウェア定義データセンター(SDDC)スタック全体の検討

 HCIは当初、管理オーバーヘッドの解消を期待されて市場に登場した。ネットワークは従来非常に静的で、メンテナンスと管理の点では多くの情報が必要になる。HCIが行っているのは、ソフトウェア定義ネットワーク(SDN)という新しい世界を開くサポートだ。

 Hewlett Packard Enterprise(HPE)で英国およびアイルランド地域のソフトウェア定義コンピューティングのビジネスリードを務めるアンドリュー・マクデード氏によると、企業はコンピューティングとストレージの管理上のメリットをHCIから得たいと考えているため、スタック全体を考えないのは不自然だという。

 「SDNはここ数年で数多く導入され、ネットワークレベルでのテンプレート化、自動化、オーケストレーションのシンプルさを実現している。オープンAPIとIaC(Infrastructure as Code)は、ネットワーク戦略とSDNが将来のITアジリティーにどのように重要な役割を果たすかについて考える最適なタイミングをもたらす」と同氏は言う。

十分な検討に裏付けされた行動

 HCI導入に際してのベストプラクティスは、HCIが必要かどうかを明らかにするために慎重なデューディリジェンスと概念実証を行うことだ。HCIが全ての問題を解決するわけではない。

 HCIの前身であるコンバージドインフラもある。リソースの配置とスケーラビリティに関して高い柔軟性をもたらすコンポーザブルインフラもある。コンポーザブルインフラは、HCIを避けて将来SDDCに向かおうとしている企業には最適かもしれない。

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