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マイクロサービスに最適なNoSQLデータベース、インメモリデータベースの台頭データベースのモダナイズ【後編】

NoSQLデータベース、インメモリデータベースが成熟し、リレーショナルデータベースの代替たり得る存在となった。さらにマイクロサービス化がこの流れを後押ししている。

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 前編(Computer Weekly日本語版 12月18日号掲載)では、老舗リゾート企業Butlin'sのリレーショナルデータベースからNoSQLデータベースへの移行事例を紹介した。

 後編では、データベース市場を俯瞰(ふかん)しつつ、NoSQLデータベースの一つであるRedisとGridGainを紹介する。

リレーショナルデータベースに代わるもの

 リレーショナルデータベースの代わりを検討しているのはBourne Leisureだけではない。NoSQLデータベースやインメモリデータベースはエンタープライズ技術として成熟しつつあると話すのは、451 Researchでデータ、AI、分析部門のバイスプレジデントを務めるマット・アスレット氏だ。

 「データキャッシュや分散データグリッド処理など、インメモリの分散データ層を最初に導入したのはインターネットアプリケーションだけでなく、金融サービスや通信事業者といった、遅延が許されない業界だった。電子商取引、医療、IoT(モノのインターネット)などの分野でも導入されるようになっている」

 大企業の中には、分散データグリッド製品を主要データ処理層として標準化し、データベースの役割を永続ストレージに格下げしている企業もある。NoSQLデータベースが当初展開されたのは、リレーショナルデータベースには適さないアプリケーションにサービスを提供するためだった。それがトランザクションの一貫性などの機能要件の一部を満たせるほどに成熟している。つまり、リレーショナルデータベースを直接置き換えることができると考えられるようになった。

 NoSQLデータベースはコア機能が強化されているだけでなく、サポート、セキュリティ、スケーラビリティといった企業の懸念にも対処しているとアスレット氏は語る。

 同氏はこれに付け加えて、「新興のデータベースは、新しいアプリケーション開発プロジェクトでますます重要な役割を果たすようになり、新しいアプローチは大きく成長している」と話す。

 451 Researchは、2018〜2023年にNoSQLデータベースの収益は年間27%増、分散データグリッド/キャッシュ製品の収益は23%増になると予想している。これに対して、同期のリレーショナルデータベース市場の成長はわずか6%増にしかならないと予測している。

 「ただし、今後も既存のアプリケーションが利用され続けることを考えれば、リレーショナルデータベースがエンタープライズデータベース界を支配するのは変わらない。2023年になっても運用データベースの全収益の4分の3以上を占めるだろう」(アスレット氏)

Redis

 Redisの歴史は、3条項BSDライセンス(訳注)のオープンソースソフトウェアとしてリリースされた2009年までさかのぼる。Redisはキー/バリュー型のデータベースで、独特のデータモデルを提供する。このモデルのユーザーコマンドは、リレーショナルデータベース管理システムのようにクエリを記述しない。操作はデータ型に基づいて実行される。つまり、データを後で素早く取り出せるように、それに適した形で保存しなければならない。

訳注:4条項BSDライセンス(旧BSDライセンス)から「宣伝条項」(派生物の広告に初期開発者を表示するという条件)を削除したもので、「修正BSDライセンス」とも呼ばれる。

 Redisにはインメモリという特徴があるため、最新のアプリケーションスタックに適していると話すのはRedis Labsで最高マーケティング責任者を務めるハワード・ティン氏だ。「今後5年間、企業はマイクロサービスへの移行を続けるため、従来型のリレーショナルデータベースにデータを保存することは妥当ではなくなる」

 また、イベントベースのコミュニケーション導入が進むため、高速かつ応答性が高く、クラウドと統合されたデータベースが不可欠になると同氏は補足する。

GridGain

 GridGainもインメモリデータベースの一つだ。だがRedisとは異なる。2005年に誕生したGridGainはオープンソースのインメモリデータファブリックで、Apache Software Foundationによってライセンス提供される。支持者によると、GridGainはアプリケーションとデータソースの中間に位置し、パフォーマンスとスケーラビリティを向上させるインフラソフトウェアだという。

 GridGain Systemsでマーケティングとアライアンス担当のエグゼクティブバイスプレジデントを務めるテリー・エリスマン氏によると、このアプローチによってGridGainはCitibankやINGなどの金融サービスへの足掛かりを得たが、ここ5年の間に別の業界にも広がったという。同氏によると、メインフレームベースのリレーショナルデータベースで実行されている支払いシステムは精算に3日かかったが、GridGainに移行すると同じ処理が3時間に短縮されるという。

 GridGainはデータ分析にも役立つとエリスマン氏は話す。「GridGainはデータレイクと運用データストアとの溝を埋める。『Apache Spark』と組み合わせれば、リアルタイムのビジネスプロセスを分析できる」

 リレーショナルデータベースは、メインストリームのビジネスアプリケーションを依然として支配している。だがNoSQLデータベースやインメモリデータベースなど、代わりになるオプションが成熟・普及しており、ITリーダーに一考の余地を与えるだろう。イベントベースのサービスアーキテクチャへの移行は、最新オプションを調べるきっかけになる。

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