「シェルコード」とは何か【後編】
「シェルコード」は何が危険なのか? 具体的な対策は?
悪意あるプログラムを実行させるために用いられる「シェルコード」。それを悪用した具体的な攻撃手法と、企業が取るべき対策を紹介する。
コンピュータを攻撃するための機械語によるプログラムを「シェルコード」と呼ぶ。前編「『シェルコード』とは? 凶悪なマルウェア感染を可能にする手口」で述べた通り、シェルコードを悪用した攻撃の例には、バッファ(一時的な記憶領域)に許容量を超えるデータを送り込んでエラーを発生させる脆弱(ぜいじゃく)性「バッファオーバーフロー」を悪用した攻撃がある。他にも「Windows」のグラフィック機能「GDI+」の脆弱性「JpegOfDeath」を悪用する攻撃がある。エクスプロイト(脆弱性悪用プログラム)によって作成した有害なJPEG画像を標的のコンピュータに開かせ、バッファオーバーフローを誘発するというものだ。
エクスプロイトは通常、悪用対象の技術とペイロード(攻撃者による悪質なプログラムの実行を可能にするコンポーネント)という2つの要素から成る。悪用対象の技術は、標的となるアプリケーションにシェルコードを挿入して実行経路を変え、シェルコードを実行させるために悪用する。そうすることで攻撃者は、シェルコードをペイロードで実行できるようになる。例えばプログラムが実行すべきコマンドを記したメモリのアドレスを、シェルコードのアドレスに上書きすることでシェルコードの実行を誘発できる。
シェルコードで悪用されるバッファオーバーフローは、スタックおよびヒープを利用したものが一般的だ。スタックとはプログラムが関数を操作するために扱うデータをあらかじめ格納しておく記憶領域、ヒープとは動的に確保する記憶領域を指す。他にもコンピュータが扱える最大値を超える整数を与えることで発生する「整数オーバーフロー」を悪用した攻撃や、プログラムが扱う文字列に特殊な文字列を挿入し、メモリの値を不正に読み書きする「書式文字列攻撃」などの攻撃手法がある。
ペイロードを使うことで、攻撃者が次のコマンドを入力するのを待つ状態にすることもできる。シェルコードはローカルでもリモートでも実行可能だ。ローカルでの実行は攻撃者が物理的にコンピュータにアクセスできる時に使われる。一方リモートでの実行は、脆弱性のあるプロセスを実行しているコンピュータを狙い、ネットワークを介してそのコンピュータにアクセスする目的で使われる。
シェルコード対策の勘所
シェルコードによる攻撃を食い止めるために、企業は多層的なセキュリティ対策を実施しなければならない。攻撃者は自動化された手法で既知の脆弱性があるアプリケーションを探す。従って企業のファイアウォールやデバイス管理製品は、疑わしい接続および悪意ある接続を阻止する設定にしておく必要がある。モニタリングやAI(人工知能)技術を使って異常な挙動を発見し、恒久的な損害が生じる前に攻撃を食い止めなければならない。
アプリケーションの保護も重要だ。メモリ保護や、プログラムの実行が不可能な記憶領域からのプログラム実行の防止といったセキュリティ対策を有効にすることで、エクスプロイトへの耐性を強化する必要がある。「Metasploit Framework」や「PowerSploit」といったセキュリティテストツールを使うことで、実行中のプロセスにシェルコードが挿入されていないかどうかなどを調査することができる。
最後に、そうした防御の組み合わせが有効かどうかをチェックすることも欠かせない。そのためには侵入テストツールを使って、シェルコードを実行しようとする攻撃を検出し、それをきちんと防止できるかどうかをテストするとよい。
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「シェルコード」とは何か
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