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「Zoom疲れ」の克服とコラボレーションツール導入成功事例テレワーク中のコラボレーション【前編】

テレワークによりコミュニケーションやコラボレーションのツールが急速に普及した。それは「Zoom疲れ」を引き起こしている。何がいけなかったのか。

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 コミュニケーションやコラボレーションのツールは以前からさまざまな形で存在していたが、新型コロナウイルスの流行によって急激に普及した。

 従業員の多くは一夜にして在宅勤務を強いられたことに伴い、そうした技術に頼る以外の選択肢はほとんどなくなった。

 テクノロジーディストリビューターWestcon Groupのプリセールス責任者リー・エバンズ氏によると、古いシステムと違ってこうしたソフトウェアはクラウドベースなのでユーザーが順応しやすい。

 組織は単純に「可能だから」という理由で一斉にこれに移行した。「Microsoft Teams」の1日当たりのユーザー数は、2000万人(1月)から4400万人(3月)に急増した。ビデオ・音声会議サービス「Zoom」を使う個人は、2019年の1億から4カ月後には3億へと飛躍的に増大した。

 Gartner傘下のソフトウェアコンサルティング企業Capterraが実施した調査によると、英国企業の43%は従業員のテレワーク用に新しいソフトウェアを調達あるいはインストールしなければならなかったと回答した。ほとんどの場合、問題なく導入できたことも分かった。

 Capterraのコンテンツアナリスト、ソニア・ナバレーテ氏が指摘するように「そうしたツールのほとんどはソーシャルネットワークのような感覚で使えることから、従業員にとって魅力がある。プライベートで使っている他のツールのような感覚で積極的に使ってもらえる公算が大きい」

Zoom疲れ

 デメリットもある。そのほとんどは技術よりも個人の感覚に関連している。最大級の問題は潜在的な燃え尽きだった。エバンズ氏によると、仕事と私生活の境界をはっきりさせていた人が「常に仕事中と見なされる」だけでなく、境界がどんどん薄れる状況に追い込まれることに問題があった。

 もう一つの問題は、同僚と日常的に交わすちょっとしたやりとりがリモート環境では発生しないことに関係している。そうした交流は社会的に大切なだけではない。人々に重要な休憩時間を提供し、脳が情報を吸収して確定する時間を与え、それによって疲労を防いでいる。

 「Zoom疲れ」という課題もある。エンドレスなビデオ会議のために、1日の仕事が終わる頃には普段以上の疲れを感じる現象だ。

 ナバレーテ氏はこうした状況への対応として「チーム間のコミュニケーションを効率的かつ計画的に行い、メッセージの飽和状態を防ぐ」ことを助言する。「Trello」のようなプロジェクト管理ツールや社内チャット機能など、オンラインの一元化されたシステムを使って「従業員がささいなことを確認したいときに参照できる場所を与え、不必要な通話を避ける」必要があるとした。

 何よりも大切なのは、用途に適切なコミュニケーションツールやコラボレーションツールを確実に提供することだとエバンズ氏は言う。

 「Zoomがビデオ会議や音声会議にフォーカスしているのに対し、Microsoft Teamsは社内のファイルにアクセスしたり継続的なチャットをしたりするためのツールであり、この2つは大きく異なる。誰もが話題にしているからというだけの理由でツールを提供するのではなく、自分が実際に直面している問題を解決するためのツールを使わなければならない」とエバンズ氏。

 まさにそれを実践した2つの組織の実例を紹介する。

事例:Jami UK(社会福祉慈善団体)

 新型コロナウイルス対策のロックダウンの間、Jami UKはオンラインコラボレーション・会議ツールを利用して社会福祉サービスの対象を広げると同時に、運営方法を再編して効率を向上させることができた。

 Jami UKはロンドンのユダヤ人コミュニティー向けに精神衛生サービスを提供している。同社は内部のほとんどのコミュニケーションやコラボレーションにMicrosoft Teamsを利用している。しかし内部の大規模なグループ会議や外部との臨床診断、教育Webセミナー、社会的な集まりといった活動は全てZoomで実施する。

 こうしたアプローチは、ロンドン北東部と北西部にある4カ所の物理拠点で行ってきた活動の代わりに実施している。だがロックダウンが完全に解除されたとしても、クライアントには引き続きオンラインでサービスを利用できる選択肢を提供することを目標としている。

 Jami UKのサービス責任者、ルイーズ・カーモード氏は言う。「いずれは対面サービスに戻る予定だが、仮想サービスも継続する見通しだ。重要なのは、さまざまな選択肢を用意して個人のニーズに適切に対応することだ。私たちとどのような形で会いたいか尋ねる際の選択肢として、オンラインは間違いなく残す」

 仮想で提供を続けるそうしたサービスの一つが、同団体が英ゴールダーズグリーンで運営している「Headroom Cafe」のサービスだ。ここでは食事と健康メニューの両方を通じて精神衛生サービスを展開している。このカフェの仮想バージョンが開かれるようになってから、顧客ベースはロンドンを越えて拡大した。

 カーモード氏は言う。「私たちにとって英国全土に広がったことの重要性は大きい。将来的に自分たちのサービスを他の場所でもっと広く共有する方法について考えさせられた。人を結び付ける戦略を展開するため他に何ができるのかを考えなければならない」

後編(Computer Weekly日本語版 7月15日号掲載予定)では、Jami UKの事例の続きと一時帰休者のための専用ツールを整え「あなたは1人ではない」と伝え続ける採用コンサルタントの真意を紹介する。

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