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「ヘルスケア用ウェアラブルデバイス」が医療を変えるための3つの課題:コロナ禍で進化するウェアラブルデバイス【第4回】
コロナ禍でオンライン診療のニーズが高まる中、ヘルスケア用ウェアラブルデバイスの臨床的な利便性が分かってきた。ただし普及に至るには、解決が必要な3つの課題がある。それは何か。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)に伴いヘルスケア用ウェアラブルデバイス市場が活発化している。Amazon.comが2020年8月にフィットネス用リストバンド「Amazon Halo」を発表し、米国向けに提供を始めたことは新しい話題の一つだ。ただしヘルスケア用ウェアラブルデバイスが普及するには、ネックとなる3つの大きな課題がある。第3回「医師が語る『ヘルスケア用ウェアラブルデバイス』がオンライン診療に役立つ訳」に続く第4回となる本稿は、それぞれの課題を考察する。
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課題1.患者のアクセシビリティー確保
1つ目の課題は患者のアクセシビリティーだ。Massachusetts General Hospital(マサチューセッツ総合病院)の心臓専門医ジャグミート・シン氏がパンデミック下のオンライン診療について一部の統計データを調べたところ、ヘルスケア用ウェアラブルデバイスにアクセスできる人とできない人のデジタルデバイド(情報格差)が拡大していることが分かったという。「社会経済的ステータスが低い人々、多くの場合はマイノリティー層が、こうした技術から疎外されている」とシン氏は語る。
米国の民間医療保険の中にはヘルスケア用ウェアラブルデバイスの購入補助を受けられるものもある。だがそうした医療保険は広く普及しておらず、患者はデバイスを自費で購入しなければならない。
課題2.“データ洪水”の防止
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