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バックアップシステム刷新――コストメリットがないのに満足の理由テープからディスクへ

ある企業がテープバックアップからディスクバックアップに移行した。コスト的なメリットは得られなかったものの満足しているのはなぜか。同社が解決したかったものとは何か。

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 グリーティングカードおよびギフトメーカーのIG Design Groupはテープバックアップを廃止してNAKIVO製品に移行した。その結果、バックアップウィンドウ(バックアップを実行する時間)と復元時間が短縮された。

 同社は米国、英国、オーストラリア、オランダ、中国にオフィスを構える多国籍企業の一部だ。

 IG Design Groupのコアアプリケーションは2つのERPと製造サポート、財務、生産性スイートだ。また約50人のデザイナーがAdobe製品を使っている。

 それまで使っていたテープはバックアップウィンドウが長く、特に仮想化環境への復元が難しかった。これが大きな問題だったと話すのは、IG Design Groupのマイク・ハリス氏(グループITマネジャー)だ。

 「メインサイトの完全バックアップに2週間かかっていた。増分バックアップでも数時間かかった」

 「古いデータを使いたいこともある。そのテープを探しても、見つけたのは求めていたものとは異なるバージョンだったことは多い。仮想化環境に移行したところ、テープから簡単には復元できなくなった」

 そこでIG Design Groupは、オンライン、クラウド、オフラインにコピーする「3-2-1バックアップ方式」に移行することにした。テープも使うが、それは長期バックアップ用にする。

 これには新しいバックアップソフトウェアによるディスクベースのバックアップが必要になる。ハリス氏が最初に着目したのはVeeam Softwareの製品だった。

 「Veeam製品を試してみて気に入った。最初に見たときは比較的安価だった。だが18カ月後に改めて調査したらその価格の高さに驚かされた」

 「NAKIVOの製品も気に入っていた。こちらの価格を目にしたとき、逆にその安さに驚かされた」と同氏は話す。

 最初に「NAKIVO Backup & Replication」(Proエディション)を1台のサーバにデプロイし、その後3台に増やし、最後は5台のサーバ全てに展開した。

 同社は現在、合計で200TBをバックアップしている。約80TBは進行中のジョブのバックアップだ。例えばERPのデータは毎日バックアップし、それを8週間保管する。各月のバックアップは3年間保管される。ファイルシステムは年末に年次スナップショットとして保持する。年次スナップショットはさまざまなデータセットが日単位、週単位、月単位のサイクルで保護されている。

 IG Design Groupは、コスト面ではそれほどメリットを感じていない。

 「コストを節約したとは言えない。日次のバックアップを数週間保持するために7倍のストレージが必要になった」とハリス氏は話す。

 ハリス氏によると、NAKIVO製品に移行したころによるメリットは、それまでできなかったことが実現したことだという。「操作中のマシンのスナップショットを取得できるようになった。変更を加えたければロールバックできる。こうしたことはテープ時代にはできなかったことだ」

 ハリス氏はNAKIVOに次のようなことを期待している。「災害復旧のプロビジョニングをサポートすることを期待している。サイトリカバリーは既にあるが、それはエンタープライズバージョンだ。希望するのは下位層の製品だ。クラウドに復元する機能やクラウドから実行する機能もあれば素晴らしい」

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