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多くの企業が誤解している“ブロックチェーンが守るもの、守れないもの”ブロックチェーンの真価とは【後編】

ブロックチェーンを使えばセキュリティが強化されるというわけではない。だがブロックチェーンにすることによって守れるものもある。ブロックチェーンが必要な用途と不要な要とを見極める必要がある。

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 前編「多くの企業が誤解している“ブロックチェーンの使い道”」では、ブロックチェーンサービスプロバイダーLabrysの創設者兼CEOのフィーニー氏にブロックチェーンにまつわる誤解を聞いた。

 後編では、引き続きフィーニー氏へのインタビューを通してブロックチェーンの課題やブロックチェーンとセキュリティの関係を整理し、正しいブロックチェーン利用の在り方を紹介する。

主な課題

――ブロックチェーンの課題は何でしょうか。ロジスティクス企業が導入する場合、サプライチェーン全体をブロックチェーンプラットフォームに乗せる必要があり、それは必ずしも容易ではありません。そのため相互接続していないブロックチェーンプラットフォームが多数存在し、それがブロックチェーンの潜在能力を制限しているように思えます。

フィーニー氏:それは実に素晴らしい指摘だ。これはパブリックブロックチェーンかプライベートブロックチェーンかの議論の背後にある問題でもある。企業がブロックチェーンソリューションを構築する場所についての議論でもあり、数年ごとに変化しているように思える。

 ブロックチェーンは、そのセキュリティと不変性によって価値を実現する。セキュリティと不変性は、分散化とブロックチェーンネットワークのオープン性に由来する。その価値はネットワークの参加者の数に正比例する。全てを最高の状態で備える独自のブロックチェーンネットワークを作成することは可能だ。だが、参加者が1人だけではそのネットワークは役に立たないだろう。

 ただし、企業は現状のパブリックブロックチェーンにシステムを構築したいとは考えていない。データの保持者に関する点で規制にグレーゾーンがあるからだ。ブロックチェーンネットワークを構築したいと当社に相談に来る大企業は、全てのノードを自社で運用したいと考えている。

 プライベートネットワークでも、集中管理型の既存システムよりは優れている。だが、今後数年で企業がErnst & Youngの「Baseline Protocol」やその他のプロトコルを通じてパブリックブロックチェーンを利用するようになるかどうかに関心がある。

 大規模なブロックチェーンネットワークに企業を取り込む方法を見つければ、ブロックチェーンをクローズドに限定せず、その可能性を解き放つことができる。

――ハッカーがブロックチェーンプラットフォームに侵入するケースがありました。こうしたセキュリティインシデントはブロックチェーンに対する信頼に影響すると思いますか。

フィーニー氏:最大の問題は、何がハッキングされたかについて誤解があることだと思う。誰かがBitcoinの台帳をハッキングしたり残高を変更したり、ルールを破ったりした例はない。同じことがEthereumにも当てはまる。

 ハッキングされるのはブロックチェーンの上位に位置する交換サービスや集中管理サービスだ。ブロックチェーンを使っているからといって、そのアプリケーションのセキュリティが確保されるわけではない。ブロックチェーンアプリケーションを構築する場合、「オフチェーン」要素のセキュリティを確保する必要がある。

 こうしたハッキングやセキュリティ侵害は人為的なエラーが原因だ。開発者が意図していなかったとしても、スマートコントラクトは誰かが行うことを全て受け入れてしまうバグが含まれる恐れがある。

 コードが意図した通りに正確に機能すると保証することが重要だ。これが、スマートコントラクト監査を行う役割が非常に大きい理由になる。

――大手ソフトウェア企業もブロックチェーンプラットフォームの販売を開始しています。そうした企業を競争相手と考えていますか。

フィーニー氏:Labrysの価値提案の重要な点は、ブロックチェーンにとらわれないことだ。インセンティブがあるという理由だけでブロックチェーンを販売しようとは考えていない。当社が関与する全てのクライアントの問題を精査し、クライアントのビジネスにとって最善の解決策を評価する。それがパブリックブロックチェーンになるかもしれないし、プライベートのハイパー台帳になるかもしれない。そう考えると、販売すべきブロックチェーンプラットフォームを持っている企業(ブロックチェーンプラットフォームを売らないと利益が得られない企業)は、実は不利な立場にあるのではないだろうか。

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