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「遠隔医療の普及はクラウドと5Gが左右する」と専門家が予測する理由平均的な患者は遠隔医療を年3.6回利用

Juniper Researchの予測によれば、2025年までに遠隔医療の利用数は7億6500万回に達する。ただし遠隔医療が本当に普及するかどうかは、クラウドサービスと5Gの普及状況によるとの見方がある。どういうことなのか。

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 クラウドサービスと5G(第5世代移動通信システム)のモバイルネットワークによって実現する「オンライン診療」(Teleconsultation)の件数は、2021年時点で4億2200万回だったが、2025年までに7億6500万回に達する――。これは調査会社Juniper Researchが2021年8月に発表した調査データの内容だ。同社はこの調査において「オンライン診療」を、患者と医療機関が専用の医療ポータルやアプリケーション、または一般ユーザー向けのWeb会議システムを用いてリモートで相互にやりとりできるビデオ通話だと定義している。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行(パンデミック)によって、病院やクリニックはスタッフと患者の安全を確保するために診療方法の変更を迫られている。パンデミックが始まった当初、接触を減らすために対面診察の予約を減らしたことから、医療機関は患者のケアとモニタリングを継続するための遠隔医療(オンライン診療を含む)の検討を迫られた。

「遠隔医療」普及の鍵はクラウドと5G その理由とは

 遠隔医療は、患者と医療従事者でビデオ通話をするものから、患者のバイタルサインをリアルタイムで遠隔モニタリングするものまでさまざまだ。遠隔医療サービスの提供は、医療機関と患者の双方に及ぶ影響や潜在的リスクを考慮すると、決して簡単なことではない。このような動向を踏まえて、Juniper Researchは2021年5月に公開したレポート「Telemedicine: Emerging Technologies, Regional Readiness & Market Forecasts 2021-2025」で、世界の平均的な患者が遠隔医療を利用する頻度は年3.6回にとどまると予測している。

 Juniper Researchによると、2025年までにオンライン診療の50%以上が北米と欧州で実施される見込みだ。この予測は「オンライン診療にはモバイルデバイスやインターネットが必要であることから、遠隔医療サービスの利用は先進国に限られる」という見立てに基づく。

 「オンライン診療が医療機関にとって不可欠な要素となるには、各地域の医療圏のサービス提供能力に応じた仕組みを開発しなければならない」と同レポートは指摘する。各地域の医療機関がオンライン診療の技術の恩恵を受けられるようになるための重要な技術として、同レポートはクラウドサービスや5Gを挙げている。

 遠隔医療の技術は医療機関の管理業務や患者との対面業務の効率化につながるため、医療機関にとっては大幅なコスト削減を可能にする存在だ。2025年までに全世界で210億ドルを超える大きなコスト削減を実現する、と同レポートは予測している。

 一般消費者向けのヘルスケア用ウェアラブルデバイスにオンライン診療サービスを連携させることで、医療機関は患者の健康データをより効率的に確認することができ、物理的な訪問を省略できる可能性がある。そのため「オンライン診療ベンダーには、安全に医療情報を保存できるクラウドサービスを開発してほしい」と同レポートは結論付けている。

 「オンライン診療には高速通信が必要だが、発展途上地域では利用するのが難しい。そのため発展途上地域でのオンライン診療サービスの利用には制限がある」と語るのは、同レポートの執筆者であるアダム・ウェアーズ氏だ。インターネット接続が不十分な地域でオンライン診療サービスの提供を支えるラストワンマイルの技術として、5Gが活躍するとウェアーズ氏はみる。

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