検索
特集/連載

限界に近づくCPU&サーバの電力密度 Intelも検討するあの冷却方式CPUと熱と電力と【後編】

CPUを省電力化する試みは文字通り焼け石に水。電力密度は上昇し続ける。これにGPUボードなどの要素が加わり、サーバ単位の電力密度はさらに増大する。どうやって冷却するのか。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena

 技術コンサルタント企業Altman Solonのアンソニー・ミロバンツェフ氏は、チップのイノベーションは3nmプロセスのような継続的かつ段階的な改善やIntelのトランジスタアーキテクチャ「RibbonFET」(訳注:一般的にはゲートオールアラウンド構造のこと)、つまりシリコンインターポーザーを備える2.5D積層や3D積層などの革新的ダイパッケージングに依存する可能性が高いと考えている。

 同氏は価格性能比の向上やHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)のニッチなワークロードを目的とするデータセンターチップとして、Arm/RISCにも注目している。Amazon Web Services(AWS)は「AWS Graviton」によってArm/RISCに移行し、NVIDIAはHPC用に「Grace」を発表している。

CPU+αでサーバの電力密度は爆上げ


iStock.com/Birdlkportfolio

 「ただし、こうした動きの最終結果はチップレベルでのごくわずかな電力削減にしかならない。高まり続けるコンピューティング能力ニーズに応えるため、小さなフォームファクターに多くのトランジスタを詰め込むことになり、電力密度がかなり高くなっているのが実情だ。電力密度の上昇はデータセンターの冷却問題につながり、その問題の重要性は時間とともに増している」(ミロバンツェフ氏)

 かつてはハイパースケーラーやIaaS企業、クリプトマイニングをホストするデータセンターではない限り、それをサポートする電力密度や堅牢(けんろう)な冷却設備は必要なかった。もちろん、企業が分析、ビッグデータ、機械学習を広く利用するにつれて状況は変わっている。

 「IntelやAMDのデータセンター用ハイエンドCPUのTDPはこれまで100〜200ワットに収まっていた。現在のトップエンドのEPYCや『Ice Lake』(10世代)のTDPは250ワットを超えており、Sapphire Rapidsは350ワットになると予想されている」(ミロバンツェフ氏)

 データセンターはサーバ監視ツールだけでなく、高アンペアの電力をルーティングする方法や冷却を検討する必要があるとミロバンツェフ氏は言う。

 これまでデータセンターは3キロ〜5キロワットの電力密度を前提にラックを設計してきたが、今日のハイパフォーマンスシステムはその10〜20倍の電力密度に達する。そう指摘するのはVertivのナイジェル・ゴア氏だ。

 「チップベンダーが常に議論するのは、1ワット当たりのパフォーマンスだ。新たなチップセットを冷却するには、その熱量を放散できるエアフローとヒートシンクが必要で、湿度の監視も要求される」(ゴア氏)

 多くのパラメーターは上限に近づいているため、特にハイエンドでは液体冷却の魅力が高まっている。Intelも新たなチップセットの設計の重要な要素として液体冷却を検討している。

 ゴア氏は、GPUなどのアクセラレーターモジュールに関するニュースにも注目することを提案する。

 「アクセラレーターモジュールがパフォーマンスシステムをパッケージ化する方法には多数の組み合わせがある。その組み合わせにはASICやメモリの高速接続が含まれるが、設計の中心になるのは自動化や機械学習をサポートするためのパフォーマンスの向上だ」

 「そうしたモジュールを1台のサーバに8つ搭載できるとする。するとそのTDP値はモジュール数を乗算したものになる。700ワットの8倍だ。つまり1台のサーバの電力密度は5.6キロワットになる」

参考:Intelのマイクロアーキテクチャ(再掲)

 原文の記述はとりとめがなく分かりにくいので、マイクロアーキテクチャを再整理した。Raptor Lake以降は製造プロセスが「Intel x」という名称に変更されており、さらに分かりにくい。ここでは日本語訳作成時点(2022年1月)でのウワサレベルの情報も取り込んでいる。

世代 アーキテクチャ名 製造プロセス
6世代 Skylake 14nm
7世代 Kaby Lake 14nm
8世代 Coffee Lake 14nm
9世代 Coffee Lake Refresh 14nm
10世代 Comet Lake 14nm
10世代 Ice Lake 10nm
11世代 Rocket Lake 14nm
12世代 Alder Lake 10nm
13世代 Raptor Lake Intel 7(10nm)
14世代 Meteor Lake Intel 4(7nm)
15世代 Arrow Lake Intel 4?(7nm?)
16世代 Lunar Lake Intel 3?(3nm?)
17世代 Nova Lake Intel 3?(3nm?)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る