「対面にこだわる経営者」こそテレワークを禁止してはいけない“納得の理由”:テスラが浮き彫りにしたテレワークのリスク【第3回】
対面でのやりとりこそが成長の鍵――。こう考える経営者は、コロナ禍が落ち着きを見せる中でテレワークを終了しようと息巻いている可能性がある。だがテレワークは安易に終わらせない方がよい。その理由は。
「『顔を合わせて働くことは、全ての従業員に不可欠だ』という強い経営哲学を持つ経営者や昔かたぎの経営者は、テレワーカーを目の敵にする可能性がある」。調査会社Forrester Researchのバイスプレジデント兼プリンシパルアナリスト、J.P.ガウンダー氏はこう語る。ガウンダー氏によれば、テレワーク導入企業に務める従業員は総じて、テレワークとオフィスワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」をしている。
対面至上主義の経営者こそ「テレワーク廃止」を思いとどまるべき理由
併せて読みたいお薦め記事
連載:テスラが浮き彫りにしたテレワークのリスク
「テレワーク」関連の注目トピック
- マスク氏「テレワーク禁止令」衝撃の中身 週40時間出社しない社員は……
- アパレル会社が“従業員監視”で分かった「サボり社員」よりも深刻な事実
- テレワークをやめた企業が払う“最悪の代償” 有能社員が会社を見限る
ガウンダー氏は「テレワーカーは、仕事上の不安が高まりやすい可能性がある」と語る。管理職と顔を合わせる機会が、オフィスワーカーに比べて少ないからだ。「それでも実際にはテレワーカーの方が、オフィスワーカーより生産性が平均的に高いことが分かっている」と同氏は言う。テレワークの方がワークライフバランスは良くなる傾向にあり、通勤時間が発生しないという利点があるという。
経営者がテレワークの選択肢をなくす場合には「注意が必要だ」と、ガウンダー氏はアドバイスする。「ユニークなスキルや、複合的で希少なスキルを持つ従業員は、テレワークを選ぶのに十分な雇用の選択肢を持っている」と同氏は指摘。「こうした従業員は、自身が求める働き方を提供する経営者の下で働く機会を探す」とみる。
勤務形態としてテレワークやハイブリッドワークを選べるようにすることは、その企業の人材採用における強みになる。競合他社に差をつける武器にもなり得る。
従業員をレイオフ(一時解雇)する方便として、企業がテレワークを終了する可能性がある。だがそれは「融通の利く職場を求める人材にとって、企業の魅力が薄れることになる」と、人事コンサルティング会社Workplace Intelligenceでマネージングパートナーを務めるダン・ショーベル氏は指摘する。
「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)が起きている間に、専門的なスキルを持つ人材は、融通の利く勤務形態で働ける職場を優先して選ぶようになった」とショーベル氏は話す。テレワーク終了は、企業の短期的なニーズを解決する場合もある。だが、企業を競争上、不利な立場に追いやる可能性もあるとショーベル氏は述べる。
第4回は、テレワークを継続した場合と、終了した場合、それぞれで起こり得る企業にとってのリスクを紹介する。
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.