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AmazonのiRobot買収が「公正な競争を脅かす」は本当かAmazonのiRobot買収は喜劇か悲劇か【第3回】

Amazon.comのiRobot買収によって、スマートホーム市場の公正な市場競争が脅かされると、人権団体は懸念している。その理由とは何か。そもそも、こうした主張は現実的なのか。

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 ロボット掃除機「Roomba」の製造元であるiRobotを買収する――。Amazon.comのこの発表が波紋を呼んでいる。人権・データプライバシー擁護団体のFight for the Futureを筆頭に、複数の団体がこの買収に対して異議を唱え、市場競争における懸念を抱いている。

AmazonのiRobot買収が「問題あり」と主張する人の言い分

 Amazon.comのiRobot買収に懸念を抱いた20団体以上の人権・データプライバシー擁護団体は2022年9月、連邦取引委員会(FTC)に対して異議を申し立てた。人権・データプライバシー擁護団体は書簡の中で、Amazon.comが「スマートホームデバイス市場を既に支配している」と指摘。「Amazon.comの内部文書に『米国の全世帯の4分の1が少なくとも1台のAlexa搭載デバイスを所有している』と記載されている」という内容の報道を紹介した。この内容は2021年に通信社Bloombergが報じたものだ。

 この書簡は「Amazon.comはライバルの買収を利用したビジネスモデルを展開している」と主張する。具体例として2018年に起きたドアベルメーカーRingの買収を以下のように紹介し、今後のAmazon.comの動きに対して警鐘を鳴らしている。

スマートドアベル「Amazon Ring」は2021年までに競合するスマートドアベルベンダー各社に圧勝し、2位以下の後続競合4社の合計に相当する販売台数を達成した。Amazon.comはこの成功を、ほぼあらゆるところに浸透している同社のECサイトを通じて、低価格のスマートドアベル製品であるAmazon Ringを販売することで実現した。Amazon.comのサブスクリプションサービス「Amazon Prime」との連携も成功を後押しした。

 Amazon.comのiRobot買収は、Ring買収と同じパターンをたどる可能性があると、人権・データプライバシー擁護団体は懸念する。

 調査会社Gartnerのアナリスト、ビル・レイ氏は、「Amazon.comのiRobot買収は明らかにデータプライバシーの懸念をもたらす」と主張する一方、「この買収が反競争的であることを立証するのは難しい」とみる。SharkNinja Operatingといったロボット掃除機を製造する企業がiRobotを買収するのであれば、競争上の懸念があることは明白だ。だがロボット掃除機市場のリーダーではないAmazon.comによる買収に、競争上の問題があると断定するのは難しい。

 ロボット掃除機ベンダーにとっては、この買収でiRobotが手ごわい競争相手になることは明らかであり「気が気ではないだろう」とレイ氏はみる。だが、それだけでは反競争的行為の調査を開始する理由として十分ではないと同氏は主張する。


 第4回は、Amazon.comがiRobotを買収する狙いについて、アナリストの見解を紹介する。

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