アクセンチュアが語る「生成AI」の他「基盤モデル」などの新技術が招く未来:生成AI(ジェネレーティブAI)とビジネス【前編】
生成AIが台頭する中で、世界の技術トレンドは今後どうなるのか。Accentureが2023年3月に公開した、先端技術に関するレポートを基に整理する。
今後10年ほどで現実空間とデジタル空間との距離はなくなる――。ITコンサルティング企業Accenture(アクセンチュア)が2023年3月に公開した、先端技術に関する調査レポート「Accenture Technology Vision 2023」はそうした見通しを示した。
変化を加速させるのは、テキストや画像などを自動生成するAI(人工知能)技術「ジェネレーティブAI」(生成AI)の導入が進むことだ。企業が生成AIの活用を進める上では、何が重要になるのか。
「生成AI」や「基盤モデル」で進むビジネスの変革
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Accenture Technology Vision 2023はレポートの題目を「When Atoms Meet Bits: The Foundations of Our New Reality」として、全世界の企業の経営者層約5000人を対象に実施した調査に基づいてトレンドをまとめた。同レポートによると、回答者の96%が「今後10年以内にデジタル世界と現実世界の融合がビジネスを変革する」と考えていることが明らかになった。
今後のトレンドを語る上での重要な技術の一つとしてレポートが挙げたのが、生成AIだ。同レポートによると、98%のシニアエクゼクティブが、「重要な創造性や革新性はAIによってもたらされる」と考えているという。
Accentureでテクノロジー部門のグループチーフエグゼクティブを務めるポール・ドーアティ氏は、企業が生成AIを活用する際に考慮すべき点について次のように説明する。「自社のニーズに沿った生成AIの活用を考えた場合、必要なのは、データと人材に費用をかけることと、『ファウンデーションモデル』(基盤モデル)の構築に投資することだ」。生成AIの活用に向けて、CIO(最高情報責任者)は「今すぐ取り組みを始めなければならない」とドーアティ氏は強調する。
ドーアティ氏が指摘する基盤モデルとは、多様なデータから事前学習することで、さまざまな用途に活用できるようになる汎用(はんよう)性を獲得したAIモデルを指す。2021年にスタンフォード大学(Stanford University)のAI研究ワーキンググループが命名した。
企業による生成AIの活用を支援するため、Accentureは全社横断チーム「Generative AI and Large Language Model(LLM)Center of Excellence」を創設した。その他、同様の取り組みの一環で、生成AIやその基になる「大規模言語モデル」(LLM)に関する調査レポート「A new era of generative AI for everyone」を公開した。
Accentureは、生成AIに加えて、デジタルアイデンティティーやデータの透明性、科学技術とITの融合などを、今後のトレンドにおける重要な要素として取り上げている。これらが組み合わさることで、現実とデジタルが融合した「共有現実」(Shared Reality)が生み出されるという。
後編は、企業は生成AIを使うことでどのようなメリットが期待できるのか、どのように使えばよいのかなどを探る。
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