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GIGABYTE製マザーボードに見つかった“バックドア的な動作”とは何だったのかGIGABYTE製品への懸念に見る「環境寄生型」(LotL)攻撃の脅威【前編】

セキュリティベンダーEclypsiumが、GIGABYTE製マザーボードのファームウェア更新ツールに見つけたという「攻撃者がバックドアとして悪用し得る動作」とは何だったのか。Eclypsiumが指摘した内容を整理しよう。

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 PC用マザーボードベンダーGIGA-BYTE Technology(GIGABYTEの名称で事業展開)の製品に、懸念すべき動作がある――。2023年5月、セキュリティベンダーEclypsiumは同社公式ブログで、こう明らかにした。Eclypsiumは、GIGABYTEのマザーボード用ファームウェア更新ツール「APP Center」に、攻撃者がバックドア(不正侵入の入り口)として悪用し得る動作を見つけたという。どのような動作が、バックドア化につながるというのか。

何が“バックドア的な動作”なのか?

 Eclypsiumによると、APP CenterはPCの起動プロセス中に、MicrosoftのクライアントOS「Windows」の一部プログラムをディスクに格納して実行する。APP Centerはこのプログラムを利用し、GIGABYTEが指定したURLからファームウェア更新用の追加プログラム(ペイロード)をダウンロードして、実行する仕組みだという。

 APP Centerによる、このペイロードのダウンロードや実行の方法を、攻撃者がバックドアとして悪用する可能性があるとEclypsiumはみる。具体的にはこうしたAPP Centerの動作を攻撃者が悪用し、

  • 通信に割り込んで通信内容を変更する「中間者攻撃」(MITM)
  • DNS(ドメインネームシステム)の情報を改ざんして偽のURLに誘導する「DNSキャッシュポイズニング」

によって標的のPCと悪意のあるサーバとの通信を確立させることで、標的のPCを侵害する可能性があると同社は指摘する。

 GIGABYTE製マザーボードは広く普及しており、Eclypsiumが今回示した懸念の影響を受けるマザーボードのモデルは複数ある。EclypsiumはGIGABYTEと協力して、APP Centerに見つかった懸念に対処し、影響を軽減するために取り組んでいるという。


 EclypsiumがAPP Centerの動作に懸念を示したのは、既存の正規リソースを流用して仕掛ける「環境寄生型」(LotL:Living off the Land)攻撃が広がっていることが背景にある。次回は、Eclypsiumが懸念するLotL攻撃の実態を整理する。

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