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「透明なテレビ」誕生までのテレビ技術“100年の歴史”テレビの技術進化を総まとめ【前編】

スマートフォンやPCが登場しても、テレビは依然として人々の主な娯楽の一つだ。テレビの技術進化も依然として続いている。1世紀前のテレビから、最新鋭テレビの進化までを振り返ってみよう。

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 テレビは21世紀に入ってもなお、主要な娯楽の一つであり続けている。世界中のさまざまな統計のデータベースを提供する調査会社Statistaによると、2024年に世界のテレビ視聴者は55億人を超える見通しだ。15歳以上の米国人のテレビ視聴時間は、2023年に1日平均で約3時間だった。スマートフォンやタブレットなど、テレビ以外の“画面”が増えても、世界中の人々にとってテレビが主な娯楽の選択肢であることは変わっていない。

 テレビの関連技術は、この1世紀で大きく変化してきた。インターネット通信やWebコンテンツの閲覧が可能なスマートテレビの登場によって、テレビの機能はコンピュータにより近づいている。テレビ誕生からの進化を振り返ってみよう。

1世紀前の「原初のテレビ」から「透明なテレビ」まで

 1920年代の動く画像から、21世紀のスマートテレビまで、テレビの技術は進化し続けている。白黒の放送がカラーテレビに取って代わり、解像度は時代を追うごとに向上した。

 視聴の形も変わった。1台のテレビの前に人々が並び、月面着陸のような重要な出来事を見守っていたのが、お気に入りの番組を録画し、家族で楽しむような視聴方法に変わった。2020年代の現在は、一人一人の視聴者が好きなコンテンツをオンデマンドでストリーミング視聴する時代だ。

 テレビの登場に影響を与えた関連技術の進歩として考えると、写真の発明までさかのぼることができる。現存する世界最古の写真は、1822年にニセフォール・ニエプスが撮影した写真だとされている。当時の技術者と科学者は、動く画像の作り方を見つけることを模索していた。こうした取り組みが、テレビの技術につながっている。

 電子式テレビの仕組みが開発されると、その技術を生かす取り組みが続いた。以下がその一例だ。

  • 画質の向上
  • フルカラー化
  • 持ち運びしやすい形態への変更
  • スマート機能の追加
    • インターネット接続やアプリケーションの使用など、テレビ視聴以外の機能の追加。

 20世紀後半には、視聴体験やテレビ自体のデザインの進化に焦点が移った。21世紀の初めにはインターネットとテレビが融合した。

 テレビ技術のイノベーション(技術刷新)はとどまることがない。2024年に開催された電子機器の見本市「CES 2024」で、Samsung ElectronicsはマイクロLEDディスプレイ技術を用いた「透明なテレビ」を発表した。使用時以外の画面はガラスシートのような外観だが、使用中は高精細な映像を表示する。

 Samsung Electronicsが提供するマイクロLEDディスプレイを用いたテレビ「MicroLED TV」は110型モデルが約15万ドルで、現時点では一般消費者向けの製品ではない。しかしこの製品が、テレビ技術の次なる段階を示しているのは明らかだ。

 LG Electronicsは新製品「LG SIGNATURE OLED T」をCES 2024で披露した。同製品は透明な有機EL(OLED)ディスプレイを採用したテレビだ。ワイヤレス通信が可能で4K(4000×2000ピクセル前後の解像度)の映像を投影できる。


 次回は、テレビの技術進化を1880年代から時代を追って解説する。

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