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「LLM」よりむしろ「RAG」が“注目株”になる理由「LLM」×「RAG」を徹底解説【前編】

大規模言語モデル(LLM)のビジネスへの活用や、LLMの精度向上に役立つ「RAG」(検索拡張生成)を採用する動きが広がっている。なぜLLMとRAGは企業の関心を集めるのか。その真価を探る。

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 テキストや画像を生成する人工知能(AI)技術「生成AI」のベースとなるのが、大規模言語モデル(LLM)だ。企業の間ではビジネスにLLMを活用する動きが広がっており、LLMの回答精度を高める手法の「RAG」(検索拡張生成)への注目度も高まっている。なぜLLMに加えてRAGが急速に企業の関心を集めるのか。その理由を、LLMの基本的な仕組みや課題を含めて考察する。

「LLM」よりむしろ「RAG」が注目株? その訳とは

 LLMは、膨大なテキストデータを基に開発された機械学習モデルだ。LLMは機械学習の技術を活用して、複雑な自然言語のニュアンスやパターンを符号化することで、データ間の関係を認識し、再現できるようにする。トレーニングを繰り返すことで、LLMは人間に近い内容やスタイルで回答を生成できるようになる。

 ユーザーがプロンプト(データを生成するための指示や質問文)を入力すると、LLMはプロンプトを分析し、学習したパターンに基づいて最適な回答を決定する。その内容を基に、文脈に応じた一貫性のある回答を構築する。LLMは、質問の解答から文章の要約、キャプション生成まで、幅広い用途に活用できる。

 LLMの活用が広がる理由は、複雑なクエリを解析して分かりやすく回答してくれる点にある。専門的な知識を持たない人でも、LLMを使うことで、より簡単にデータを理解して活用できるようになる。LLMは人々に新たな洞察や学びの機会を提供しており、「データの民主化」を実現しつつある。

 一方でLLMには限界がある。LLMが出力する回答は時として正確性に欠けていたり、内容が古かったり、的外れだったりする場合がある。その原因は、

  • LLMがトレーニング時のデータセットに依存していること
  • トレーニング時のデータセットには詳細かつ最新の情報が含まれていないこと

といった理由に起因する。

 このようなLLMの課題を補完する技術として、「RAG」(検索拡張生成)への注目が集まっている。RAGは外部のデータベースにある情報を参照し、LLMが事前学習していない情報も踏まえて回答できるようにする手法を指す。


 次回は、RAGがLLMの性能向上にどのように役立つのかを解説する。

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