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VMwareを買収したBroadcom、CEOが指摘する「サイロ化の問題」とはBroadcomのプライベートクラウド戦略【前編】

BroadcomのCEOであるホック・タン氏が、企業のITインフラにおけるサイロ化を問題として指摘している。Broadcomはなぜサイロ化を問題視しているのか。

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 「コンピューティングやストレージ、ネットワークの各分野のサイロ化(連携せずに孤立した状態になること)が進み、どうしようもない状況に追い込まれている」。仮想化ベンダーVMwareを買収した半導体ベンダーBroadcomの最高経営責任者(CEO)を務めるホック・タン氏は、2024年8月27日(現地時間)にBroadcomが開催したイベント「VMware Explore」の基調講演で、企業の経営者や開発者などに向けてそう語った。タン氏が指摘するサイロ化の問題とは何か。

Broadcomが指摘するサイロ化の問題とは

 タン氏によれば、企業の一部はシステムを個別に最適化して開発してきた。その結果、各システムの連携を考慮し切れておらず、システム全体では統合的な運用が難しい状態に陥っている。

 仮に顧客に提供する製品パッケージを、サイロ化したシステムを束ねたり、疎結合なシステムを組み合わせたりして提供する場合、運用効率が悪化して運用部門に負荷がかかるという。タン氏はBroadcomが買収する前のVMwareの社内開発体制について「チームが多過ぎ、行動指針があまりにも多く、効率の悪さがはびこり、それがチームの取り組みを妨げていた」と指摘する。ただし、タン氏によればBroadcomによるVMware買収後に開発体制は変化しており、顧客を最大限に支援するため現在は製品群を統合してポートフォリオを簡素化したという。

 タン氏は開発体制を変革した成果として、プライベートクラウド構築用製品群の「VMware Cloud Foundation」(VCF)の次期バージョン「VMware Cloud Foundation 9.0」(VCF 9.0)を発表した。VCF 9.0は以下のアップデートを予定している。

ITインフラの調達、管理機能の集約

 ITインフラの管理者向けには単一の管理画面から、ストレージ容量やガバナンスポリシーなどを確認し、セキュリティ機能を操作できるようにする。

 開発者向けには、管理者や他部門に依頼することなく必要なツールやITインフラを入手できる「セルフサービス」機能を強化して、仮想マシン(VM)やコンテナオーケストレーションツール「Kubernetes」などのリソースを迅速に利用できるようにする。

管理機能の追加

 BroadcomはVCF 9.0に以下の管理機能の追加を発表している。

  • アプリケーショントポロジー(構成)の確認
  • 通信量や経路情報などのネットワーク情報を分析する
  • ネットワークの疎通を確認するために使用するコマンド「ping」の到達可否結果やストレージの使用状況など、VCF内の運用ステータスを診断する

VCF Importの強化

 ITインフラの移行機能「VCF Import」の強化によって、以下の製品をVCFに移行することが可能になる。

  • サーバ仮想化製品群「VMware vSphere」(以下、vSphere)
  • ストレージ仮想化ソフトウェアの「VMware vSAN」(以下、vSAN)
  • ネットワーク仮想化製品群の「VMware NSX」(以下、NSX)

「VMware vSphere Kubernetes Service」の強化

 vSphere内のKubernetesクラスタを管理するサービス「VMware vSphere Kubernetes Service」が、以下を利用可能となる。

  • クライアントOS「Windows」で動作するコンテナ
  • 仮想マシンの設定や構成を保存する「オープン仮想化フォーマット」(OVF)形式のファイル

VMware vSANの強化

 vSAN関連では、以下の機能強化がある。

  • クラスタ間で同じデータが複数回保存されることを防ぐ「重複排除」により、ストレージコストを削減
  • 特定時点のデータの状態を保存する「ディープスナップショット」機能により、データが失われた際のRPO(目標復旧時点)を約1分間に短縮
  • 地理的に分散した複数地点でクラスタを構成する「ストレッチクラスタ」によりデータの可用性を向上

ネットワーク強化

 プライベートクラウド内のネットワーク管理を効率化するために以下の機能を追加する。

  • クラウドベンダーが提供する論理的に独立した仮想ネットワークである「VPC」(仮想プライベートクラウド)を自動で管理するための機能追加と、VPCのセットアップに必要な時間を削減
  • スイッチング機能の高速大容量化によって、ネットワーク遅延を削減

 次回はBroadcomの方針をユーザーやアナリストがどのように評価しているかを解説する。

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