「GPT-4o」で仕事はどこまで楽になる? GPTの進化を解説:ビジネス向けGPT-4o活用ガイド【前編】
OpenAIが2024年5月に発表した「GPT-4o」は、業務に生成AIを活用したいと考える企業のニーズに応えるものだ。具体的にどのような点が強化されたのか。
人工知能(AI)ベンダーOpenAIは、2024年5月に大規模言語モデル(LLM)「GPT-4 Omni」(GPT-4o)を、同年7月にはコスト効率に優れる小規模言語モデル(SLM)「GPT-4o mini」を発表した。GPT-4oは、データ分析機能をはじめとするビジネス向け機能が強化されており、企業による生成AI活用はさらに進むと見込まれる。具体的に強化されたポイントと、ワークフローへの組み込み方について解説する。
GPT-4oの「ビジネス向け」強化ポイントは?
Omniはラテン語で「全ての」を意味する接頭辞だ。その名の通りGPT-4oは幅広いビジネス用途に役立つ。売上予測、タスク自動化、カスタマーサポートなどがその一例だ。
GPT-4oは音声や動画など複数の形式のデータを処理できるマルチモーダルモデルだ。強化されたデータ分析機能、既存の業務フローへの統合しやすさといった特徴を持つ。GPT-4oのユーザーは自然言語でモデルと対話することができ、データ分析を専門としない従業員でも分析が可能となる。特にデータ駆動型の組織や、チームでの連携が求められる組織において、GPT-4oは検討する価値のあるモデルと言える。
以下に、GPT-4oのデータ分析機能の特徴を解説する。
- 企業データとの連携性
- 以下オンラインストレージサービスからデータを直接インポートできる。
- 「Google Drive」(Googleドライブ)
- 「OneDrive」
- 以下オフィスツールからデータを直接取り込み分析できる。
- 表計算ツール「Google Sheets」(Googleスプレッドシート)
- 文書作成ツール「Google Docs」(Googleドキュメント)
- プレゼンテーションツール「Google Slides」(Googleスライド)
- 表計算ツール「Microsoft Excel」
- 文書作成ツール「Microsoft Word」
- プレゼンテーションツール「Microsoft PowerPoint」
- 「JSON」(JavaScript Object Notation)や「PDF」のデータ形式を扱うことができる。
- 以下オンラインストレージサービスからデータを直接インポートできる。
- データの視覚化
- ユーザーがデータセットをアップロードすると、GPT-4oがチャートを作成して可視化する。情報を自動で整理してくれるため、データの理解が容易になる(図1)。
- データクリーニング
- データクリーニングとは、用途に合わせて不要なデータを排除して、データを分類すること。データクリーニングで加えた変更のリストを作成することもできる。
- 表のエクスポート
- データを可視化するだけでなく、作成した表をダウンロードしたり、PowerPointやGoogle Slides用にエクスポートしたりすることも可能だ(図2)。
GPT-4oのワークフロー統合
GPT-4oを既存のワークフローに統合する場合、ユーザーによるプログラム構築が必要な場合がある。例えば以下のようなユースケースでは、ユーザーはプログラムを構築せずにGPT-4oの機能を利用できる。
- カスタムGPTsの活用
- GPT-4oを企業向けにカスタマイズする。例えば、企業では独自の言葉遣いや表現のルールが存在する。AIチャットbot「ChatGPT」をカスタマイズできる機能「GPTs」(GPT Builder)を使うことで、統一されたスタイルの文章を作れるようにする。
- コンテンツ作成支援
- GPT-4oを活用して、技術文書やマーケティング資料の下書きを自動で作成する。時間を節約できるだけでなく、初心者が書いた文書でも一定以上の品質を担保できる。
以下のような組み込み方をする場合は、プログラムの構築が必要だ。
- 多言語音声統合
- カスタマーサービスの電話やチャットに組み込む。人件費を抑えつつ、顧客対応の効率を増やすことができる。GPT-4oは多言語翻訳が可能なため、海外の顧客に対してもサービスを提供できる。
- CRMシステムとの統合
- ChatGPTをCRM(顧客関係管理)システムと組み合わせて使用する。顧客とのやりとりを自動化し、営業活動やマーケティング活動を効率的に促進できる。例えば、顧客へのメールの自動送信や、新規提案メールの自動作成など。
次回は、GPT-4oの具体的なユースケースや、導入時に注意すべき点を解説する。
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