交通サービス事業者が「Nutanix」を仮想化インフラに採用した理由:Broadcomの買収で揺れる仮想化市場【後編】
シンガポールの交通サービス事業者SBS TransitがNutanixの製品群を採用した。ITインフラで利用する製品を選ぶには慎重な決断が求められるが、同社がNutanixを採用した理由とは。
半導体ベンダーBroadcomが仮想化ベンダーVMwareを買収して、VMware製品のライセンス体系を変更したことから、ユーザー企業の間で不安が広がっている。その不安を背景に、Nutanixの製品群を採用するユーザー企業も出ている。シンガポールの交通サービス事業者のSBS Transitもそうした一社だ。
SBS TransitがNutanix導入を決断した理由
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脱VMwareを狙うNutanix
SBS Transitは最近、Nutanixの製品群を同社のITインフラに採用した。同社の最高技術責任者(CTO)を務めるテン・ジュー・ロー氏によると、Nutanixの製品群を採用した主な理由は以下の通りだ。
- 運用を簡素化するITインフラへ移行する必要性
- 既存の開発者向けツールやパブリッククラウドとの相互運用性
- セキュリティ機能の充実
SBS Transitは、自社のアプリケーションを、Nutanixの製品群を活用したITインフラに移行し始めている。さらに、Nutanixが提供する開発者向けツールを活用して、マイクロセグメンテーション(ネットワークを複数のセグメントに分割する技術)を実現する計画だ。自社ネットワークを細かく分割することで、セキュリティの強化を期待できる。
SBS Transitは、Nutanixの製品群を活用してオンプレミスインフラとクラウドサービスを併用する「ハイブリッドクラウド」戦略を推進する方法を検討している。「ミッションクリティカルなアプリケーションにはプライベートクラウドを利用して、拡張性とコスト効率が求められるようなサービスにはパブリッククラウドを活用する」とロー氏は説明する。
SBS Transitの「DX」(デジタルトランスフォーメーション)戦略では、AI(人工知能)技術が重要な役割を果たしている。同社ではバスや列車の予知保全にAI技術をすでに活用しており、重大な事故が発生する前に原因を取り除けるようにしている。
ロー氏はAI技術によって、生産性向上や現場のオペレーション効率化、乗客エンゲージメントの向上を推進できると考えている。SBS Transitは特定のユースケースに最適なAIモデルを活用するためにさまざまなパートナーと協力しているという。
SBS Transitは最近、輸送の問題をさまざまなパートナーと共同で解決することを目指す専門組織を設立した。「スタートアップ、中小企業、政府機関、業界リーダーが結集して、私たちが直面する輸送の課題に取り組むことが目的だ」とロー氏は語った。
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