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“AIに何度も聞く”のが正解? 「プロンプトチェーニング」の仕組みとテクニックAIから理想の答えを引き出す対話術【前編】

AIモデルから期待通りの回答を得られないときに役立つ技術が「プロンプトチェーニング」だ。プロンプトチェーニングの仕組みやテクニックを紹介する。

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 「プロンプトチェーニング」は、大規模言語モデル(LLM)を使ってタスクを実行する際に、プロンプト(情報生成のための質問や指示)を小さなプロンプトに分割する手法だ。1つのプロンプトに全ての情報を詰め込むのではなく、まず基本的な内容を入力し、出力を次のプロンプトに使用することで、段階的に質問の範囲を狭める。学習済みのAIモデルからより良い出力を引き出すために、質問や問題の提示方法を改善するプロンプトエンジニアリングの一形態だ。

 本稿は、プロンプトチェーニングの仕組みやプロンプトチェーニングのテクニック4選を紹介する。

プロンプトチェーニングの仕組みとは?

 複雑な問題を段階的に解決したり、初期の出力を改良したり拡張したりするタスクにプロンプトチェーニングは適する。特に、実行したいタスクや望ましい出力の大まかなイメージはあるものの、その具体像やゴールが曖昧な場合に有用だ。

 プロンプトチェーニングは、1つ目のプロンプトをLLMに提供することから始まる。LLMはこのプロンプトを受けて1つ目の出力を生成する。出力の内容の評価は、人が実施する場合と、特定の基準に沿って出力を評価するように設計されたシステムが実施する場合がある。エンドユーザーやプロンプト作成システムはLLMが出力した内容に基づいて新しいプロンプトを作成し、LLMの出力を意図したものに近づけることを目指す。

 例えば、1つ目の出力が必要以上に広範な情報を含んでおり、特定の要素に焦点が当たっていない場合、次のプロンプトではその要素に絞った内容や指示を入力する。満足のいく出力を得られるまで、この作業を繰り返す。

 プロンプトチェーニングが効果的なのは、LLMの特性を活用しているためだ。LLMは深層学習モデル「Transformer」(トランスフォーマー)を基にしたニューラルネットワーク(人の脳の神経細胞をモデル化した情報処理システム)で、長いテキストデータのパターンや関係性を認識することが得意だ。こうしたLLMの特性が、前回の出力を基にプロンプトの文脈や焦点を段階的に調整するプロンプトチェーニングの効果を高めている。

プロンプトチェーニングの技法4選

 プロンプトチェーニングと一口に言っても、その技法は幾つかある。それぞれの特徴や使用に適した場面を紹介する。

技法1.インタラクティブチェーニング

 エンドユーザーの入力やフィードバックをリアルタイムでLLMの出力に反映させる技法だ。エンドユーザーがLLMと自由に対話し、新しい情報やアイデアなどのフィードバックを入力するたびに、LLMはその情報を基にして次の出力を改善し続ける。

技法2.シーケンシャルチェーニング

 複雑なタスクを順序立てたプロンプトに分解し、順番に実行する技法だ。長文を部分的に要約したり、データセットを分類したりする際に活用できる。

技法3.ループチェーニング

 特定のタスクを繰り返し実行するためのプロンプトを作成し、プロンプトが指示する内容をさまざまなタスクに繰り返し使用できるようにする。複数のデータセットに対して同じ処理や整理を繰り返し実施する際に使用する。

技法4.条件付きチェーニング

 特定の条件が満たされた場合、どのような出力を生成するのかをLLMに指示して出力を調整する技法だ。これによって、将来の出力がこのルールに基づいて生成されるようになる。

プロンプトチェーニングとCoTプロンプティングの違い

 プロンプトチェーニングと「Chain-of-Thought」(CoT:思考の連鎖)プロンプティングは、どちらもプロンプトエンジニアリングを通じてLLMの出力の改善を目指す技法だが、違いがある。

 プロンプトチェーニングは、LLMとの対話から得られた出力を次の入力として使用する。そのため、複数のプロンプトが必要だ。一方CoTプロンプティングは、推論が必要なタスクで使う。LLMが複雑な方程式や謎解きといった推論タスクをうまく実行できない場合に、LLMが推論から回答を出力できるように、プロンプトに推論を解くための説明を含める。そのため、プロンプトは単一で長いプロンプトになる傾向がある。


 次回は、プロンプトチェーニングを使うメリットや課題を紹介する。

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