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【経営層からの質問対応】あの問題、どう説明する? ”脱VMware”か”使い続けるか”編「うちは大丈夫なの?」にサクッと答える

IT関連のニュースや技術を追い続けている訳ではない経営層に、最新のIT関連情報の説明を求められたら――。今回は、VMwareの利用を事例に、困った時にすぐ使える説明用スクリプトを紹介する。

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VMware vSphere | VMware | サーバ仮想化 | 仮想化


 半導体ベンダーBroadcomが2023年11月にVMwareを買収し、その後ライセンス体系と製品バンドルを変更したことで、顧客にコスト増加をもたらした。VMwareを使い続けるのか、別の選択肢を検討するのか、経営層に尋ねられた場合に参考になるスクリプトを用意した。

「VMwareを使い続ける? これからどうすれば」にどう答える?

Scene1.社長からいきなりの質問

社長:「次の契約更新の話だけど、うちのサーバソフトで使っているVMwareの維持費が高額になっているって本当?『他社製品に乗り換える』という案も聞くが、今まで安定して動いていたものを変えるのはリスクが高すぎない? 結局どうするのが一番損をしないの?」

Scene2.まずは結論を伝えつつ、”脱VMware”しなかった場合の課題について軽く触れる

情シス:「本件は、『家賃が急騰したマンションに住み続けるか、引っ越し費用を払ってでも適正な家賃の物件に移るか』で考えると想像しやすいです。不動産の維持費(ライセンス料)は上がります。引っ越し(”脱VMware”)する場合は、一時的なコストと技術的リスクが発生します。『思考停止で使い続ける』のは避けた方がいいと考えています」

Scene3.社長が理解しやすい例えで”脱VMware”か”VMwareを使い続けるか”の本質を説明する

情シス:「社長、先ほどの『マンションの賃貸契約』で説明しますね。 これまでは、分譲マンションの部屋を買って、安い管理費だけで住み続けられました(永続ライセンス契約)。 しかし、オーナーが変わり、ルールも変わりました。新オーナー(Broadcom)はユーザーに対して、分譲から賃貸契約(サブスクリプション)への強制移行を前提とすることにしました。さらに、管理費は急騰、色々なサービスをセットで契約するように求めています。 『高くなった家賃を払い続ける』か、『労力をかけて適切な家賃の別の物件へ引っ越す』かの岐路に立っているというのが問題の本質です」

Scene4.考えられる影響は?

情シス:「VMwareの利用を継続する場合、ITインフラの固定費は拡大し続ける可能性があります。他社製品に乗り換える場合は、移行の作業費で一時的な出費が発生します。システム切り替え時のトラブルのリスクも考えられます」

Scene5.社長が最も気にしている「では弊社はどうすれば」にどう答える?

情シス:「以下の施策を、短期〜長期で以下のスケジュールで進めたいです」

メモ

  • 短期(更新時期):VMwareから急に移行する方向で動くよりも、Broadcomの方針を一旦は受け入れて、可能な限り短い期間での契約更新を交渉し、時間を稼ぎます。
  • 中期(1〜2年以内):Nutanixの「Nutanix AHV」やMicrosoftの「Hyper-V」などを使って、クラウドに検証環境を構築して移行検証(PoC)を実施し、移行可能なシステムを仕分けます。
  • 長期(次回更新まで): 「VMwareでなければならない基幹システム」と「他社サービスを使って動くシステム」を分離し、マルチベンダー体制を作ることで、特定企業の価格交渉力に左右されない体質を作ります。

Scene6.投資判断を引き出すため、経営視点でのコメントで締める

情シス:「本件は、単なるソフトウェアの更新ではありません。『特定のベンダーによる囲い込みを受け入れ続けるか、自社の主導権を取り戻すか』という経営判断です。まずは『移行検証のための予算』をご承認いただき、将来のコスト削減の選択肢を作らせて頂けると幸いです」

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