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”やっぱり人間だよね” AI導入の裏で8割超の企業が進める「人材再設計」カスタマーサポート担当者の役割拡大

Gartnerの調査によると、AI導入によってカスタマーサポート業務の効率化が進む一方、人員を減らすのではなく、人間の役割を再定義する動きが広がっていることが分かった。

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 カスタマーサポートには、やはり人間が必要なのか?

 2026年4月28日(米国時間)、Gartnerが公開した調査結果からは、人工知能(AI)の導入が進む一方、カスタマーサポートにおける人間担当者の役割が拡大している傾向が明らかになった。調査は2025年9〜10月、世界321人の顧客サービス/サポート部門リーダーを対象に実施したものだ。

人間はどこに配置される?

 調査によると、85%の企業が、AIによる問い合わせ件数の減少や業務効率化を受けて、人間の担当者に新たな責任や業務を追加していることが分かった。一方、AIを理由にフロントライン従業員のレイオフ(一時解雇)を実施、または2027年第1四半期までに計画している企業は31%にとどまった。

 Gartnerは、企業の関心が「人員の削減」よりも「人材の再設計」に向かっていると分析している。

 Gartnerのカスタマーサービス&サポート部門でバイスプレジデントアナリストを務めるキャシー・ロス氏は、「サービス/サポート部門のリーダーは、AIがもたらす影響を踏まえて人材の再設計計画を進める必要がある」と指摘する。

 実際、80%のサービス/サポート部門リーダーが、「AIによる応対件数の減少と効率向上を受け、人材構成の変更を迫られている」と回答している。

 そこで、多くの企業は急激に人員を削減するのではなく、慎重なアプローチを取っている。企業の63%は、人員の自然減少などで緩やかに人員削減を進めながら、余剰となった人員を高付加価値業務へ再配置している。具体的には、顧客ロイヤリティー向上や成長支援、長期的な業務効率を支える「より価値の高い業務」へと再配置している。

 Gartnerのカスタマーサービス&サポート部門でシニアディレクターアナリストを務めるエリック・ケラー氏は、「AIが単純業務を自動化し始めると、新たな課題が生まれる。企業は、人間をある業務をより低コストでこなすように配置するのか、AIが代わることができない、顧客が価値を感じる役割へ再配置するのかを判断しなければならない」と説明する。

 Gartnerの調査では、75%の企業が人間の担当者をサービス/サポート組織内の新しい職種へ移行させていることも判明した。AIの導入によって、人間の担当者の役割そのものが再定義されつつある。

 その背景には、顧客側の意識もある。Gartnerが2025年1〜2月に実施した別の調査では、回答者の54%は、商品やサービスの提案について「AIよりも人間の担当者を信頼する」と回答した。一方、「AIの方を信頼する」と答えた割合は32%だった。同調査は、米国の5801人を対象に実施したものだ。

 Gartnerは、この結果について、「複雑な意思決定や高額な商品を購入するといったリスクを伴う判断、助言を必要とする場面では、人間による判断力や共感力、経験が引き続き重要視されていることを示している」と分析する。

 ケラー氏は、「AIを単なるコストの削減手段として利用する企業は、戦略的な機会を逃す可能性がある。企業としての“真の優位性”は、AIの効率性と、人間の判断力、共感力、経験を組み合わせることで、テクノロジー単体では決して達成できない成果を生み出すことから得られる」と述べている。

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