ろうきん、全職員3000人に生成AIを導入 「無理なく利用できる」ツール選定の勘所:生成AIで業務効率化と提案力向上へ
Allganizeは、中央労働金庫が全職員約3000人向けの生成AI活用基盤として「Alli LLM App Market」を導入し、全部署で利用を開始したと発表した。導入までの道のりや施策を紹介する。
中央労働金庫は、全職員約3000人が利用する生成AI活用基盤として、Allganizeの生成AI・AIエージェントプラットフォーム「Alli LLM App Market」を導入した。Allganizeが2026年7月9日に発表した。
生成AIに対する知識やITスキル、担当業務が異なる約3000人の職員全員が利用できるようにするには、単に高性能なツールを導入するだけでは不十分だ。生成AIに詳しくない職員でも迷わず使える操作性を確保しながら、金融機関に求められる安全性を満たし、導入後も継続的に使われる仕組みを整える必要がある。
中央労働金庫は、こうした条件をどのように整理し、全職員が使える生成AI基盤の選定と展開を進めたのか。その背景と、製品選定の決め手を紹介する。
「全職員が使いやすい」生成AI導入の背景
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中央労働金庫は、首都圏の1都7県を営業エリアとする協同組織の福祉金融機関だ。労働組合や生活協同組合などを主な取引先とし、働く人とその家族の生活を金融面から支援している。
同金庫は、対面による相談・提案力を強みとする一方、持続的な成長に向けて経営基盤の強化を進めている。「第8期中期経営計画(2025〜2027年度)」では、重点施策の1つとして「持続的成長を支える経営基盤の構築」を掲げ、デジタル技術を活用した業務効率化に取り組んでいる。
その一環として着目したのが生成AIだ。生成AIを使って定型業務などの負担を減らし、創出したリソースを人材の最適配置や、顧客に対する相談・提案の品質向上につなげることを目指した。
一方、全職員を対象に生成AIを展開するには、使いやすさだけでなく、金融機関に求められるセキュリティ水準を満たす必要がある。同金庫は、利便性と安全性を両立できる生成AI基盤を検討した。
選定の決め手となった3つのポイント
中央労働金庫は複数の生成AIツールを比較した結果、主に3つの点を評価してAlli LLM App Marketを採用した。
1つ目は、庫内規程や各種ナレッジを安全に活用できるRAG(検索拡張生成)機能だ。金融機関に求められるセキュリティ水準を維持しながら、内部文書を基に回答を生成できる。
生成した回答の根拠となる情報をプレビューで確認できる機能も評価した。職員はAIの回答だけを受け取るのではなく、参照された文書を確認した上で業務に利用できる。
2つ目は、生成AIに詳しくない職員でも使いやすい操作性だ。同製品は汎用(はんよう)的な生成AIチャットに加え、文書作成や要約などに利用できる100以上の生成AIアプリケーション(以下、アプリ)やAIエージェントを標準搭載している。
ユーザーが毎回プロンプトを一から作成しなくても、用途に応じたアプリを選択して利用できるため、一部のITスキルを持つ職員に限らず、全職員が日常業務で活用を始めやすいと判断した。
3つ目は、全社展開と利用定着を支援するAllganizeの伴走だ。同社は、初期導入や運用だけでなく、庫内で利用するアプリの選定、独自アプリの作成、RAGで参照する文書の整備などを支援する。
中央労働金庫は、ツールを導入するだけでなく、業務で継続的に利用される仕組みを整え、活用領域を段階的に広げられる点を評価した。
庫内規程の検索や独自AIアプリを業務に活用
中央労働金庫の職員は、Alli LLM App Marketに標準搭載された業務用の生成AIアプリやAIエージェントに加え、庫内規程を基に回答を生成するRAG機能、同金庫が独自に作成する生成AIアプリなどを利用する。
Alli LLM App Marketは、企業の生成AI活用に必要な機能をまとめて提供するプラットフォームだ。生成AIアプリやAIエージェントのほか、プログラミングをせずに独自のアプリを作成できるノーコードビルダー、図表を含む文書に対応したRAG、企業向けのセキュリティ機能や管理機能を備える。
中央労働金庫 常務理事の山崎英一氏は、同製品の導入によって業務効率化やコスト削減を進めると説明する。その上で、創出した人的資本や時間を顧客への相談や提案など、より付加価値の高い業務に充て、生涯にわたる「安心、最善、良質」の提供につなげるとしている。
(※)この記事は本多和幸氏と谷川耕一氏によるIT事例メディア「CaseHub.News」に掲載された「中央労働金庫、全職員3000名の生成AI基盤にAllganize製品を採用 業務効率化へ」(2026年7月12日)を、TechTargetジャパン編集部で一部編集し、転載したものです。
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