B2B系顧客に対して効率的に営業活動するために販売側が一丸となってアカウントのニーズを把握し高度にカスタマイズしたマーケティングを実施する「アカウントベースドマーケティング(ABM)」が注目されている。
私が「アカウントベースドマーケティング(Account Based Marketing/ABM)」の定義を初めて聞いたのは10年以上前のことだ。今やキャッチーなバズワードとなったABMだが、その概念は非常にユニークだ。こういったバズワードを定義することで知られているITSMA(http://www.itsma.com/)によるとABMを次のように説明している。
「例えば、あるアカウント、パートナー、プロスペクト(見込み客)がいる1つの市場に対して、高度にカスタマイズしたマーケティングキャンペーンを開発・実装する、階層構造化されたアプローチのこと。このアプローチには、マーケティング部門と販売部門が一緒になって、ターゲットとなるアカウントが直面する主要なビジネス課題に寄り添い、それらを個別のテーマに落とし込み、その解決に当たる作業が含まれる」
これを言い換えれば、価値の高いアカウント自体を「唯一無二の市場」として扱い、アカウントの持つ固有のニーズに合致するマーケティング手法を使って外科的にターゲティングすること。そして、それは今やとても容易になった(と、私は信じている)
しかし、当時ABMの概念は今以上に魅力的だった。当時はマーケターがアカウントの購買行動を本当の意味で“深掘り”して理解するには、非常に限られた手段しか持ち合わせていなかった。そのため、ある特定のアカウントにおける意思決定者やインフルエンサーのニーズにうまく応えられないケースが多かった。マーケターはアカウントの担当営業にインタビューをして点と点を結び、“アカウントの絵”を描くことにベストを尽くしてきたが、時として成績のいい担当営業と“マーケティング”という言葉を使った議論になると、相手がしびれを切らす場面に出くわすことになり、結果として非常にちっぽけで主観的な“大きな絵”の一部を切り取って持ち帰るだけに終わることになった。
では今日まで時間を進めてみよう。あなたがこの調査結果を信じるかどうか分からないが、今日の購入行動、いわゆるカスタマージャーニーの60〜70%は最初にWeb上から始まっている(参照:https://hbr.org/2012/07/the-end-of-solution-sales/)。早い段階で使われるGoogle検索からホワイトペーパーをダウンロードして詳細な機能比較を行うといった初期段階の購入プロセスの活動の全ては “グリッド上(ネット)”にある。これは、マーケターの利益のためにそれらを利用できることを意味している。
つまり、ABMer(ABMを信仰する人たち)からすると、マーケターは「知恵」へ変化していくデータという名の金脈の上に鎮座しているといえる。「知恵」は力なり!
私が所属するCSCは、ABMの時代になると、先行者の優位性がなくなる立場にある。数年前、われわれは白紙の状態から始める機会を得てデジタルエコシステムを構築した。それは、「知恵」の力を使ってビジネスを進める、真の可能性を持つABMプログラムだった。ここでは、当社独自のABMプログラム(未完成なものもあるが。)が有効に機能するために実施したことを幾つか挙げてみよう。
つまり、当時興味深かったABM概念だが、今やあなたのマーケティングミックスの必須コンポーネントとなり、営業中心の世界との関連性を高めるために日々戦うのに必要な非常に重要なツールとなったのである。
Nick Panayiは、CSCにおけるGlobal Brand & Digital Marketingのディレクター。責任分野は、グローバルブランド管理、CSC.comサイト、デジタルコンテンツ管理、マーケティングプログラム、マーケティングオペレーション、MA。Nickは、テクノロジー部門で、さまざまな管理、戦略計画、マーケティング職を歴任。アバイア、コンパックだけでなくオンラインサービスやMAのスタートアップに在籍し、20年以上の経験を持つ。
このたび、アイティメディアは、自社で展開するTechTargetジャパンの会員による情報収集活動を企業名で名寄せし、日々の情報収集活動の中にある購買活動を見える化した「企業トレンドリポート」を有償で提供することとなりました。
IT製品の購入活動を企業単位で見える化した「企業トレンド」は、ABM的なアプローチを進めるB2B企業の営業部隊の強い味方となります。アカウントプランの作成やテレマーケティングの優先順位付け、新規営業先の開拓、既存アカウントの他社への離反防止などにお使いいただけます。
情報収集活動とIT製品購買活動は表裏一体。個人単位でのスコアリングやナーチャリングなどの単純集計では両者の行動に違いがなくフォローしても案件化につながらないことが多くありました。
そこで、ABMの考え方を取り入れた「企業トレンド」では、TechTargetジャパン会員が登録した企業名を企業データベースに掛けて名寄せ。個人単位の情報収集活動を企業単位に集約することで購買活動に変換します。IT製品の購買活動に関わりが高い情報システム部の会員の活動の有無や、事業部門が同時に活動しているのか、情報収集活動のスパイクの有無を取り入れた独自のスコアリングロジックを開発しました。リポートの上位企業の会員に対して定期的に電話やオンラインアンケートを実施し、IT製品購買活動の有無を確認してリポートのランキング精度を高めています。
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