三重県伊勢市の老舗食堂「ゑびや大食堂」は生き残りをかけて自社ビジネスの変革に取り組んだ。ITを使い、社内外の関係者の力を結集することで実現したゑびやのDXを支えた仕組みとは何だったのか。
「このままのやり方では会社がつぶれるかもしれない。ITの力で何とかしなければ」
こうした悩みを抱える経営者は少なくない。少し前で言えば経済産業省のレポートで「2025年の崖」という言葉が取り上げられ、最近では新型コロナウイルス感染症の拡大によって人の行き来が制限されるという外部環境の変化があった。こうしたさまざまな要因が経営者に危機感を与えている。
伊勢神宮の近くの老舗食堂、ゑびや大食堂(以下、ゑびや)を経営する小田島春樹氏(代表取締役社長)もそういった経営に関する悩みを抱えていた。「当時、伊勢神宮の参拝者が増えてもゑびやのお客さまは頭打ちで、このままなら廃業するという状況だった。このままじゃいけないとITの力でビジネスを変える決意をした」と小田島氏は振り返る。
小田島氏が取り組んだのは、飲食ビジネスのデジタルトランスフォーメーション(DX)だ。飲食ビジネスを可視化し、集めたデータを使って来客予測をするといった、これまでの「慣習」とは別のアプローチでこの危機を脱しようと考えた。
そこで課題になったのがプロジェクト管理だ。ITを活用するためには多くの人の力がいる。だが、多くの人が関わるプロジェクトを進めるには、並行して動くタスク全体をリアルタイムに把握し、適切に分業する必要がある。
「フロー型のコミュニケーションツールだけではなく、ストック型のタスク管理の仕組みも必要だった」(小田島氏)
これらの要件をかなえる、ゑびやの新しい挑戦を支えた仕組みとは何だったのか。
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