製造業DXにはクラウドなどの活用が不可欠だが、機器どうしがつながることでセキュリティ面でのリスクも高まる。「ラインを止めない」という重要課題を、安全性に配慮しながら解決するにはどうすればよいのか。現場を知るプロたちに聞いた。
業務システムは情報の宝庫だ。モノの位置情報やカメラによる映像、各種デバイスから収集できるさまざまなセンシングデータを基に、企業はビッグデータやAIを活用する土台を構築できる。産業分野ではそれが“スマートファクトリー”として、その他の分野でも“DX”といった言葉を掲げ、多くの企業がその活用を進めている。
スマートファクトリーでは、クラウドや機器同士を“つなげる”ことでその価値を最大化していく。だがそこには“つながる脅威”が発生することも忘れてはいけない。さらにその改革(DX)には多くの“壁”があることも事実だ。産業システムにおけるITの世界とOTの世界は担当する部署も異なり、お互いが主張を曲げない状況もある。経営層もDXを取り入れて競争力を入手したいところだが、特に工場であれば「ラインを止めない」という最重要項目をセキュリティの名目で手を加えることにもなり、現場の反発も大きいだろう。
現場、情報システム部、そして経営層――三すくみ状態のように見えるが、安定した環境で安全に業務を遂行するという点においては、3者の意見は一致している。全社が一丸となり、混沌(こんとん)とするサイバー空間において「改革を進めつつ安全を手に入れる」にはどうしたらよいのだろうか。その答えに導けるのは、現場を知るその道のプロたちしかいない。
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