中堅・中小企業にありがちな「ワンオペ情シス」体制。夜間、休日もオンプレミスの基幹システムの安定稼働を維持しなければならなかった通信販売事業者の社内SEが、クラウドに移行してサーバ保守で手いっぱいの状況を脱した事例を紹介する。
中堅・中小企業で、情報システム部の人員が潤沢というケースは少ない。限られた人数のため、「保守で手いっぱい、DXなんて夢のまた夢」というのはよく聞く話だ。
本稿で取り上げる歯科医療器具や歯科材料に特化した通販会社ピーディーアールも同じ状況だった。コロナ禍の影響もありECサイトを中心に売り上げが急成長する中、クラウドで稼働しているECサイトと連携しているオンプレミスの基幹システムを止めてはならず、夜間、休日も不測の事態に備える必要があった。社内SEはサーバの保守で手いっぱいで、社内のリソースのみで24時間365日の監視を実現するには限界があった。
基幹システムもクラウドに移行すれば物理的なサーバの管理は不要になる。だが、結局自社で運用する範囲が大幅に減るわけではなく、オンプレミスとは異なる知識が必要となる。決断は容易ではない。
では、ピーディーアールはどう行動したのか。そこからは、中堅・中小企業におけるITの在り方の一端が見えてくる。
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