工場の生産性向上は製造業にとって永遠の課題。だが客観的なデータを収集できなければ改善のPDCAは回せない。IE手法に工場DXを組み合わせることで画期的な現場改善を実践している東芝テックの「現場作業の見える化と分析」の施策とは?
製造業にとって、工場における生産性向上は終わりのない課題だ。生産設備の稼働率改善については自動化設備やロボット導入など多くの施策が講じられて無駄が解消されているが、一方で遅れているのが人(作業者)に関する作業効率の改善だ。
そもそも、工場内の作業者が無理や無駄がなく動いているのかどうかを十分に把握しきれていない製造現場がかなりある。なんらかのKPIに基づいた客観的な実績(データ)を収集できていなければ、改善のための施策も打ちようがない。
もちろんまったくの手付かずであったわけではなく、例えばIE(Industrial Engineering)手法を活用した改善活動が製造業では古くから実践されてきた。しかしIEが基本とする「ストップウォッチを用いた測定方法」では、収集できるのは連続性のない瞬間値のデータであり、仮に一時的に改善が進んだとしても継続して効果を確認できず、PDCAサイクルを回すことができない。
さらにIE手法を工場で実践するため、製造現場に紙の台帳や観測板を持ち込んで測定した結果を記録し、事務所に持ち帰ってからあらためて「Excel」にデータを手入力して集計/分析するといった作業が繰り返されており、重い負担になっていた。
そうした中で画期的な現場改善を実践しているのが、東芝テックの大仁事業所だ。従来のIE手法にIoTを中心とした工場DX(デジタルトランスフォーメーション)を組み合わせることで、現場作業の見える化と分析を実現したその取り組みを紹介する。
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