“安全と利便性”を両立した「生体認証」活用で東武鉄道と日立がめざす未来とはスマホ不要の生体認証で買い物可能な時代へ

東武鉄道と日立製作所は生体認証を活用することで、消費者の利便性向上や社会課題の解決をめざす。両社が共同開発したデジタルアイデンティティーの共通プラットフォームについて、求められた技術要件や課題、今後の展望と併せて紹介する。

2024年02月01日 10時00分 公開
[ITmedia]

 2024年1月時点で世界一の高さを誇る電波塔「東京スカイツリー®」や栃木県日光市の観光開発に注力することで名高い東武グループ。運輸、レジャー、不動産、流通など5つの事業から構成される同グループの中核をなすのが、関東地方に12路線を持つ鉄道会社、東武鉄道だ。

 東武鉄道は、生産性向上や収益拡大を目的に、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進に取り組んできた。沿線住民や観光客向けの企業対消費者(B2C)サービス開発においては、ポイントプログラム「TOBU POINT」や「NIKKO MaaS」などの施策を通して、デジタル技術で人々の生活を便利にすることに注力している。

 一般的なB2Cサービス開発では、現状、スマートフォンの利用を前提にした仕組みを採用する場合がほとんどだ。QRコードを用いた本人認証サービスや、交通系電子マネーサービス「モバイルPASMO」などがその典型だ。一方で東武鉄道は「スマートフォンさえ取り出さなくてよい」レベルの便利さをめざしており、その実現には、個人の生体情報に基づく認証が“利便性と安全性の両立”という観点から適していた。国内の人出不足を踏まえた省人化や無人化の問題にも着目した。なりすまし防止や、セルフレジにおける年齢確認商品販売といった課題を踏まえて、生体情報にひも付けるID管理システムの構築が将来的に主流になるとにらんだ。

 東武鉄道は、上述したポイントを踏まえて、生体認証のB2Cサービス基盤を日立製作所と共同開発する道を選んだ。本稿では両社が共同開発に至った背景と、開発で求められた技術要件や課題、今後の展望を解説する。

※QRコードは、株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
※PASMO ・モバイルPASMOは株式会社パスモの登録商標です。

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