リード獲得をスキップして「いきなり商談」をする“SaaSマーケ”の賢い方法SaaSベンダーのマーケ必見

SaaS利用がすっかり定着する一方で、ベンダーを取り巻く状況は徐々に厳しさを増している。脱「資料請求サイトでのリード獲得」を図り、販売を活性化させるための方法とは。

2024年05月14日 10時00分 公開
[ITmedia]

 クラウドサービスの利用が広がる中、さまざまな業務・業種に特化したSaaS(Software as a Service)が登場し、複数のSaaSを組み合わせて使う企業も珍しくなくなった。SaaS市場は年々成長を続けており、今後も拡大が見込まれている。ところが、SaaSベンダーを取り巻くビジネス環境は一概に明るいとは言い切れない。投資市場に目を向けると、SaaSベンダーの資金調達額が上がる一方で、調達先の社数は減少傾向にある。投資会社が対象を選ぶようになってきた様子が見えてくる。

 もちろん、明るい要素もある。国内では政府によるスタートアップ企業向け支援策による後押しの他、大手銀行もスタートアップ企業への融資に乗り出すなど、いわゆる「デットファイナンス」(銀行借り入れによる資金調達)の存在感が高まっている。

 どちらにせよ、“SaaSを提供していれば資金を調達できるフェーズ”は終わりを迎え、優れたサービスでなければ淘汰(とうた)される時代へと入りつつある。これまでは主に売上高の拡大に注力していたSaaSベンダー各社も、利益重視へと軸足を移しているようだ。

商談につながらない……「リード獲得」のありがちな課題

 この状況において、自社のSaaSをどう提案して効率的に案件獲得につなげるかは、重要なテーマとなる。現状は、資料請求が可能なSaaS製品比較サイトへの掲載が大きな選択肢となっているが、この方法は課題が大きい。

 一般的に、SaaS製品比較サイトでは、SaaS導入を検討する企業の担当者(バイヤー)が対象になっている。資料請求のタイミングで、バイヤーの個人情報がSaaSベンダーに“リード”として提供され、1リード当たりの費用が発生する。しかし、リードを獲得できても必ずしも商談につながるわけではない。「あくまで資料を請求しただけ」というケースもあるため、資料請求の後の営業活動が欠かせない。さらにはリード獲得するために使った予算と獲得したリードの質を比較してコスト効率がよくない場合があるので、非効率な状態に陥りかねない。

 バイヤーが資料を一括請求したとしても、全ての資料を読み込み、理解するのはかなりの負担だ。そもそも、自社の課題はどのサービスで解決できるのか、実現したいことにどのサービスが適しているかを判断するには、ある程度のITリテラシーが求められる。そのため、SaaSベンダーのビジネスはバイヤーのITリテラシーに依存するところが大きい。

リードではなく「商談」を獲得できる新サービスとは

 この状況を解消すべく、発注ナビが2024年1月にリリースしたのが、SaaS領域のビジネスマッチングサービス(図1)だ。もともと受託開発領域においてシステムを開発したい企業と開発会社のマッチングを手掛けていた発注ナビが、SaaS領域にも展開した形だ。

画像 図1 発注ナビの新サービスのフロー(提供:発注ナビ)《クリックで拡大》

 発注ナビの新サービスの特徴は、リードではなく「商談」を獲得できる点にある。SaaSベンダーは、案件情報の中から、自社で商談したいと考えている案件にエントリーする。エントリーした企業から数社が選定され、日程調整が完了した状態で紹介されるため、“いきなり商談フェーズから”営業活動を開始できるわけだ。

 この「エントリーする」というフローも発注ナビの新サービスのユニークなところだ。SaaSベンダー自身で商談したい案件を選んでエントリーするので、自社が関わりたい案件だけを選んで獲得できる。一般的なリード獲得では、どのリードがほしいかを事前に指定することはできず、同じ企業のリードが重複することもある。発注ナビの新サービスはタイミングやその時の方針によるターゲットの変化に応じて「今、自社でアプローチしたい企業」の商談を獲得できる。

 案件情報にも、発注ナビ独自の工夫がある。紹介する案件情報については発注ナビが事前にヒアリングの上、バイヤーの課題を整理する。その課題を確認することでツールとのミスマッチを回避できるので、エントリーするかどうかの判断がしやすい。発注ナビはサービス開発に当たり「SaaSベンダーがエントリーを判断するには、どのような情報が必要なのか」を調査。企業規模やサービスの利用者数などの共通項目を整備している。

 これに加え、発注ナビは各案件で固有の条件をバイヤーにヒアリングし、細かく記載している(図2)。例えば、「必須条件は、クラウドであることと、○○機能があること、顧客単位での管理が可能なこと。できれば、現在利用している経理の○○と連携したい」といったイメージだ。こうした情報を確認し、「自社で対応可能かどうか」「今やりたい案件かどうか」などを判断してエントリーできる。

画像 図2 発注ナビの案件情報の画面、バイヤーの課題や応募条件が確認できる(提供:発注ナビ)《クリックで拡大》

商談後の成約率向上もサポート

 リードではなく“商談”を獲得できるとはいえ、その後の営業活動は欠かせない。この点でも、発注ナビでは専任のカスタマーサクセス担当がサポートする。なぜ受注できたか、なぜ受注できなかったかの振り返りを通じて、成約率向上に向けてさまざまなアドバイスをしたり情報を提供したりする。

 発注ナビのカスタマーサクセス担当は、SaaSベンダー側とバイヤー側のそれぞれに付いている。そのためSaaSベンダーは、「なぜこのサービスに決めたのか」「なぜ選ばなかったのか」など、導入企業側の意見も含めてフィードバックを得ることができる。バイヤーには商談後に満足度に関するアンケートを実施し、これらのスコアもSaaSベンダーに情報として提供されるので、自社の営業状況をデータで把握して改善点を洗い出すことができる。カスタマーサクセス担当は標準で提供され、追加費用は発生しない。

 発注ナビの新サービスは、SaaSとしてすでに実績を上げている企業に限らず、新たにSaaSを開発し、これから販促に取り組む企業も活用できる。主に受託開発を手掛けているある企業は、新たに開発したSaaSのリード獲得に悩んでいた。リスティング広告などを実施し、リード獲得はできたものの、「自社SaaSのターゲットにマッチしない」「資料請求だけで商談につながらない」など、コストに対して効果が得られない状況が続いていた。そうした中で、商談を獲得できる点を評価して発注ナビの新サービスの利用を決め、受注につながったという。

 サービス料金については、商談を獲得する度に費用が発生する従量課金型のプランと、予定している件数分を事前にまとめ買いすることで単価を抑える「コミットプラン」など、複数のプランが用意されている。初期費用は発生せず、案件閲覧までは無料でできる。実際に案件にエントリーする際にはどのようなプランが適切なのかを発注ナビに確認する必要があるが、案件閲覧のみであれば、「会社名」「担当者名」「連絡先」「メールアドレス」をフォームから入力するだけで登録できる。

 発注ナビによると、SaaSのマッチングサービスを介してさまざまな受注が生まれ始めている。SaaSベンダーからは以下のような評価の声が出ているという。

  • リード獲得ではインサイドセールスが経緯を聞くところからスタートするが、発注ナビの場合は事前に情報提供がされるため、商談がスムーズに進む
  • ピンポイントで商談することができるので受注の確度が上がる

 今後発注ナビは、製品カテゴリーを迅速に拡充するとともに、業界に特化したサービスの展開も視野に入れている。

 中にはマーケット動向を把握することを目的に、発注ナビのSaaSのマッチングサービスに登録している人もいるという。自社のSaaSにどういった潜在的な顧客がいるのか、どのような要望があるのかといった点を確認することにも役立つ可能性がある。繰り返しになるが、SaaSの案件を閲覧するだけならば費用は一切かからない。

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