「IBM i の脱レガシー=ERP移行」に逃げない、モダナイズのアプローチとは?元カシオ計算機CIOが語る、AS/400資産モダナイゼーションの鍵

「IBM i 」をビジネス基盤として使い続けてきた企業が“脱レガシー”を考える上で、「最新ERPへの移行」が常に正解とは限らない。自社の資産を継承しつつ、アプリケーションをモダナイズする「コンポーザブルアプリケーション」とは。

2025年06月27日 10時00分 公開
[ITmedia]

 ビジネスの根幹を支えるインフラとして「IBM i 」(旧AS/400)を長年にわたり活用してきた企業は、さまざまな制約の中で基幹システムをどのようにアップデートすべきかという課題に直面している。

 DX(デジタルトランスフォーメーション)を考える際、経営層はまずERPシステムのモダナイゼーションに目を向けがちだ。グローバルのビジネス展開を進める企業では特に、経営基盤を構築する上でERPは強力なツールとなる。ただし、各企業が日々の企業努力の中で改善してきたIBM i のアプリケーションをERPパッケージへリプレースするプロジェクト難易度は極めて高い。

 カシオ計算機でCIO(最高情報責任者)、生産本部長などを歴任してきた矢澤篤志氏は、「これまで投資してきたIBM i 基盤の強みを生かしながら、レガシー化したアプリケーションのモダナイゼーションを推進する『コンポーザブルアプリケーション』というアプローチもあります」と説く。コンポーザブルアプリケーションとは「アプリケーションを『ビルディングブロック』(単機能を持つ部品)に分解し、それらを必要なときに組み合わせて使う」という考え方に基づく、将来を見据えたシステムの構築方法だ。

 そもそもSoR(System of Record)を本質とする基幹システムは自社の競争力を決定付ける要素にはなりにくい。新たな価値や競争優位性を創出するためには、顧客接点となるSoE(System of Engagement)領域のシステム強化が欠かせない。コンポーザブルアプリケーションは、まさにその鍵を握っている。

 自社の成長戦略を踏まえたシステム刷新のあるべき姿とはどのようなものなのか。数々のIT施策をリードし、業務改革とデジタル化の幅広い経験を持つ矢澤氏に聞いた。


矢澤篤志氏 略歴

イノベイトラボ 代表、MONO-X顧問

1981年カシオ計算機入社後、海外営業、物流部門を経て、情報システム担当役員(CIO)、生産、調達、物流領域の担当役員を歴任。グローバルレベルでのERP導入やサプライチェーン改革などに精通し、退職後は、IT企業の顧問などを務める傍ら、特許庁技術検証委員、JDMC理事など業界支援活動にも従事。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


提供:株式会社MONO-X
アイティメディア営業企画/制作:アイティメディア編集局

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.