IEEE 802.11n:導入前に知っておくべきこと【前編】:Column
2008年策定完了見込みの次世代ワイヤレス標準。導入の前に知っておくべきことを改めて確認しておこう。
次世代のワイヤレス標準であるIEEE 802.11nは、ストリーミングビデオなどの広帯域アプリケーションとワイヤレスVoIPの共存を可能にする。しかし、この新標準をベースとした製品を導入する前に、802.11nが高速通信を実現する仕組み、初期製品の採用に伴うリスク、既存のネットワークに与える影響、そして新標準が最大のメリットをもたらす環境を理解しておくべきだろう。そこで、2回にわたって802.11nワイヤレス標準を解説し、この新技術を導入する前に検討すべき問題について述べる。今回はその1回目だ。
IEEEは2004年1月に、802.11nの仕様策定作業を開始した。2004年と2005年を通じて作業が続けられ、2006年1月に提案標準のドラフト1.0がたたき台としてリリースされた。802.11n委員会は6000件を超えるコメントや変更要求を受け取り、要求された改善を盛り込む作業を2006年5月に開始した。同委員会は2006年11月にドラフト1.06をまとめた。その後、ドラフト2.0の策定作業に取り掛かかり、標準の策定完了および承認は、2008年初めになる見込みだ。
802.11n標準の現在のバージョンでは、540Mbpsという高速通信を実現する。実効速度は100〜200Mbpsの範囲になるとみられるが、技術が成熟するのに伴い、実効速度の向上が期待できる。
この速度向上は、MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術、より広い無線周波数チャネル、そして送信の時間間隔を短縮する手法を利用することによって実現される。
MIMOは送信側ステーションと受信側ステーションで複数のアンテナを使用することにより、通信速度および通信距離の向上を実現する。送信側と受信側のアンテナの数が増えるのに従って通信速度が向上する。送信側と受信側のアンテナの数は同じでなくてもよい。
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