シスコが拠点向けの新戦略、ルータAPI公開でSMB開拓狙う:NEWS
シスコシステムズは小規模拠点向けの統合ルータを発表。アプリケーション機能を代替するルータ拡張モジュールを導入することで、省スペース化と多機能化を両立する。
シスコシステムズは5月28日、小規模拠点向け製品となるルータを発表した。併せて、ブランチオフィスやテレワーカー向けに、省スペース化や運用コストの低減を狙いとしたルータ用拡張モジュールを7月にリリースする予定。
発表されたのは、拠点向けの統合型ルータ「Cisco ISR 880/860」シリーズ。ISR 880/860はアクセスルータとしての基本機能にファイアウォールやVPN、IPS(不正侵入防御システム)などのセキュリティ機能を統合した拠点ルータ。IEEE 802.11nドラフト2.0対応無線LANアクセスポイントを搭載したモデルもあり、センター側から装置を管理することができる。
今回のブランチ向けソリューションの大きな特徴は、ISRのルータOS「IOS」のAPIを同社として初めて公開し、このAPIを利用してルータの各機能を制御するカスタムアプリケーションをルータ用拡張モジュール「Application eXtension Platform」(AXP)に組み込めるようにしたこと。AXPはCPU、メモリ、HDDを搭載したLinuxベースのハードウェアで、ルータの拡張機能として、これまで単体のアプライアンスやサーバで処理してきたアプリケーション機能を「肩代わり」する。ルータの拡張スロットにAXPを導入して機能統合することで、機器を単体で運用するよりも設置スペースや運用コストが抑えられる。AXPはネットワーク機能向け、サーバ機能向け2タイプの計3モデルを用意する。
同時にシスコは、AXPで稼働するアプリケーション開発用のSDK(ソフトウェア開発キット)をデベロッパーや特定業界、UC(ユニファイドコミュニケーション)、ネットワーク管理各分野を手掛けるパートナー企業に提供。技術サポートやマーケティングプログラムを通じてカスタムアプリケーションの開発を促進していく。AXPの活用例として、海外では電子カルテによるWAN経由の病歴管理を実現する病院や、顧客通話記録のため音声パケットのキャプチャー機能を拠点ルータに実装する金融機関の事例(別記事参照)などがある。
3月にシスコに入社したばかりの副社長 平井康文氏は、「これまでは本社と拠点のシステム機能には明確な差があった。セキュリティ・コンプライアンスの観点でブランチオフィスのITを見直すべき」と話し、同社が「なかなかリーチできなかった」SMB(中堅・中小企業)向け事業にもコミットする考えをあらためて示した。
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