シスコが容量6.4Tbpsのキャリアエッジルータ発表、ソフトバンクがFMCで導入検証へ:NEWS
シスコシステムズはNGN時代の急速なトラフィック増に応えるキャリア向けエッジルータ「Cisco ASR 9000」を2009年に投入する。
シスコシステムズは11月11日、キャリア・ISP向けのネットワークエッジルータ「Cisco ASR 9000シリーズ」(以下、ASR 9000)を発表した。動画やモバイルなどのNGN(次世代ネットワーク)サービス対応をうたっており、同社のコアルータ「CRS-1」との組み合わせにより、キャリアやサービスプロバイダーの帯域増やサービス拡張のニーズに応える。価格は約8万米ドル(税別)からで、2009年第1四半期中に出荷開始予定。
ASR 9000はキャリアイーサネットのアグリゲーション用途に特化したシャーシ型ルータ。10スロットおよび6スロット装備の2モデルが用意され、ギガビットイーサネット(GbE)インタフェースなどのラインカードは共用となっている。NGNを基盤とした3.5G/4G(LTE)モバイル端末によるビデオ/VoIP(Voice over IP)アプリケーションの利用、家庭でのIPTVの普及といった将来の急速なトラフィック増を想定した設計となっており、現行の標準的なエッジルータの容量の6倍に相当する、最大6.4Tbpsの収容力を誇る。
管理や拡張性の点でもNGNサービスに配慮した設計となっている。アクティブ−アクティブ構成が可能な2つのスイッチファブリックでは、1スロット当たり25万6000のきめ細かなキュー管理(ユニキャストまたはマルチキャスト時)を実現し、モバイルユーザーを含むユーザー単位での動画トラフィックの優先制御が行える。またジッタやレイテンシ(遅延)を監視する専用プロセッサを搭載し、ストリーミングサービスなどの通信品質を高レベルで保つことができる。
シスコ社長兼CEOのエザード・オーバービーク氏は「IPトラフィック量はコンシューマー系を中心に2012年には現在の6倍以上に膨れ上がる。だから、NGN時代はエンド・ツー・エンドでルータのアーキテクチャ革新が求められるのだ」とASR 9000の先進性を訴える
さらに拡張性については、電源をモジュール化することで、サービスプロバイダーが必要に応じて電力量を追加していく構造になっているため、競合他社製品に比べて電力消費が大きく抑えられるという。「日本市場を念頭に置いて開発した」(同社)とするように、ケーブリングや筐体サイズの面でも省スペース化が図られた。
シスコシステムズでは、ASR 9000をビデオとモバイルデータ通信をキラーコンテンツとする、コンシューマー系のNGNサービスを支える戦略製品として位置付ける。先行導入事例としては、ソフトバンクモバイル、同BB、同テレコムのソフトバンクグループがIPベースのFMC(固定・モバイルネットワーク統合)に向けて、現在同製品の導入を見据えた検証を行っているという。
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