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デスクトップLinuxで名高いUbuntuの「サーバ版」を導入してみるUbuntu 8.10 Server Edition試用リポート【前編】

ここ最近、デスクトップLinuxとして人気が高いUbuntuだが、サーバ版があることをご存じだろうか? 企業用途向けの各種機能を強化したという最新リリースを、実際にセットアップして使ってみた。

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Ubuntuとは?

デスクトップLinuxとして高い人気

 Ubuntu(ウブントゥ)は、Debian GNU/Linux(以下、Debian)ベースのLinuxディストリビューションである。最新版の安定したフリーOSを継続して提供することを目標としており、その開発は英カノニカル社(Canonical)のサポートを受けながらUbuntuコミュニティーによって行われている。

画像 画面1 Ubuntu 8.10 Desktop Editionのデスクトップ画面《クリックで拡大》

 Ubuntuの最初のリリースは2004年10月で、その歴史は比較的浅い。しかし、インストールの簡易さや充実したデスクトップ環境によって、日本でも高い人気を誇るディストリビューションとなっている。個人用途のデスクトップ向けディストリビューションというイメージが強いが、デスクトップ版とは別にサーバ版もリリースされている。そこで本稿では前編・後編の2回にわたって、2008年10月30日にリリースされたサーバ版、「Ubuntu 8.10 Server Edition」の使用感や新機能などを紹介したいと思う。

定期リリースと充実したサポート

 Ubuntuは新機能を積極的に追加しながら、6カ月ごとに新しいバージョンがリリースされている。各バージョンのサポート期間は1年半だが、LTS(Long Term Support)という長期サポート版もある。LTS版はデスクトップ版で3年間、サーバ版で5年間のサポートを受けることができる。最新のLTS版は2008年4月にリリースされたUbuntu 8.04で、今回レビューするUbuntu 8.10には本稿執筆時点(2008年11月)ではLTS版は存在しない。

 ちなみに、Debianからの派生ディストリビューションであるUbuntuは、パッケージのファイル形式にDebianと同じくdebパッケージ形式(拡張子は「.deb」)を採用している。また、パッケージ管理システムにはapt-getなどのコマンドやSynapticパッケージマネジャー、「アプリケーションの追加と削除」などのGUIツールを採用している。ただしDebianとUbuntu間では、パッケージのバイナリ互換は保証されていないので注意が必要だ。

Ubuntuの特徴

 Ubuntu(主にデスクトップ版)は、インストールの容易さ、デスクトップ環境の完成度の高さ、最新のソフトウェアが使用できる点などがユーザーに高く評価されているようだ。ここでは、それ以外の幾つかの特徴について説明したいと思う。

3種類のインストールメディア

 UbuntuのインストールメディアはCD 1枚の構成になっており、それがLive CDも兼ねている(デスクトップ版のみ)。従って、Live CDとしてインストール先のマシン上での動作を確認した後に、そのままインストールCDとして使用することができる。インストールCDは、目的別に以下の3種類が用意されている。

Live CDの可否 内容
Desktop CD 一般的なユーザー向けで、インストーラはGUIになっている。
GNOMEがデスクトップ環境としてインストールされる
Server CD × サーバ用途向けで、インストーラはテキストベース(CUI)になっている。
インストール中に、どのようなサーバを構築するかを選択できる
Alternate Installer CD × デスクトップユーザー向けのCDだが、インストール時にソフトウェアRAIDやLVM(Logical Volume Manager)を設定することができる。
インストーラはテキストベースだが、GNOMEがデスクトップ環境としてインストールされる

派生バージョンと国内コミュニティー

 Ubuntuには、多様な派生バージョンが存在する。利用者が多いのは、デスクトップ環境としてKDEを採用したKubuntuや、同じくXfceを採用したXubuntu、教育目的のEdubuntuなどだろう。

 またUbuntuは、日本のコミュニティーチーム(Ubuntu Japanese Team)の活動が非常に活発だ。オリジナルのUbuntuには含まれていない日本語環境のパッケージを取り入れたローカライズ版(Ubuntu Desktop 日本語 Remix)がリリースされており、Wikiやフォーラムでの情報の発信や交換なども活発に行われている。インストーラをはじめとする各種画面で、日本語のメッセージが分かりやすい表現になっているのは、これらの活動のたまものかもしれない。

rootアカウントでのログイン禁止

 最後に、Ubuntuの特筆すべき特徴として、rootアカウントでのログインが禁止されていることが挙げられる。一般的なLinuxディストリビューションでは、管理系のコマンドを実行する場合にはsuコマンドでスーパーユーザーになるが、Ubuntuはrootアカウントのパスワードが無効になっているため、この方法は使用できない。Ubuntuで管理系のコマンドを実行する場合は、sudoコマンドを使用する。例えば、システムを最新の状態に更新する場合、以下のようにする。

$ sudo apt-get upgrade

[sudo] password for <ユーザーアカウント>: ←現在ログインしているアカウントのパスワードを入力

 rootアカウントでのシステム管理に慣れている場合、この方式には抵抗があるかもしれない。しかし、rootアカウントのパスワードが漏えいする恐れがないことや、2種類のパスワード(一般ユーザーアカウント用とrootアカウント用)を管理しなくて済むといったメリットがある。

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