ユーザーから支持される8つのアプローチ
ビデオ会議をエンドユーザーに使ってもらうには
多額の費用を投じて導入したビデオ会議システムも、社員が使いたがらなければ宝の持ち腐れだ。エンドユーザーの支持を獲得するための、8つのアプローチを紹介する。
CIOやCFO(Chief Financial Officer)は、6人の社員が今度ビデオ会議を行うと聞くと、こんなふうに受け止める。「会社は出張コストを大幅に節約でき、社員は3日間の出張に出る代わりに、家に居ながらにして会議ができる。最新のマーケティング戦略など重要な議論にも活用していくとよい」
しかし、重要会議をビデオ会議で行うのは、得てして社員にとっては考えるだけで気が重い仕事だ。そう感じる社員は、例えばこんな経験をしている。つまり、何年も前にビデオ会議を何回か使い、時にはうまくいったが、最初の15分くらいはIT担当者に手伝ってもらわなければならないのが常で、参加者は不安定な音質と画質に閉口した、といった具合だ。こうした社員は、生産的な会議を行うためには、家で家族と過ごす時間を多少犠牲にしても、参加者がどこかに集まる方がよいと思うだろう。
企業がビデオ会議戦略を見直し、この技術の活用の新たな展開を図る中、多くのIT担当者が、この技術に何度も幻滅させられた懐疑的なユーザーを引き付ける方法を見つけなければならなくなっている。実際、社員を再教育し、ビデオ会議にあらためて興味を持たせるために、本格的な社内キャンペーンを実施している企業も幾つかある。
ビデオ会議は、重要なコラボレーション技術として再び台頭している。企業が出張の凍結や抑制を進めていることを背景に、IT担当者は音声のみの電話会議よりも格段に優れた会議方法として、あるいは不況時に出張予算を削減する方法として、この技術をアピールするユニークな機会を見いだしている。
こうしたIT担当者は、ビデオ会議のROIを主に出張コストの削減によって実証できるが、会議の生産性向上(視覚的要素による)や生活の質向上(出張の減少による)も、この技術のメリットに挙げる。こうして、この技術を導入展開するための予算を獲得しているが、この技術の活用の大きな課題はエンドユーザーの支持の獲得だ。
「われわれはビデオ会議の導入に多額の費用を投じている。社員が使わないと、われわれは失敗プロジェクトの責任を負うことになる」と、あるエネルギー企業のITディレクターは語る。同社はデスクトップ型、ルーム型、テレプレゼンス型のビデオ会議システムを導入している。
8つのアプローチ
ではIT担当者は、社員がビデオ会議を受け入れて利用するように導くにはどうすればよいのか。Nemertes Researchは以下のアプローチを勧めている。
1. エンドユーザーと話し合う
導入展開を開始するかなり前の時点でエンドユーザーとミーティングを持つ。そしてエンドユーザーにビデオ会議に関する意見や経験を尋ねる。経験がない場合は、試してもよいと思うかどうかを尋ね、よいと思う理由・思わない理由を聞き出す。経験がある場合は、良い経験だったか、悪い経験だったかを尋ね、どうしてそう思うのかを聞く。
2. エンドユーザーの過去の経験を認識する
エンドユーザーが悪い経験をした場合、彼らが問題に見舞われたことをよく認識する。問題の原因を正当化しようとしない。例えば、「当時のIT担当者は、適切な構成のネットワークや適切なサイズのコーデックを使える状況ではなかったに違いない」といった説明をしてはならない。彼らが悪い経験をしたことを認め、その原因を把握するようにする。ビデオ会議セッションの確立が大変だった、音質や画質がお粗末だった、多地点の会議が難しかったなど、さまざまな原因が考えられる。
3. マーケティングチームの協力を得る
会社のマーケティングチームのメンバーに協力を依頼する。依頼に当たって、彼らにビデオ会議のメリットを伝え、今回はより効果が期待できることを説明する。特に、最初のヒアリングで社員から指摘された問題点を挙げ、それらがどのように改善されているかを解説する。例えば、ビデオ品質が不安定だった場合は、新しいMPLS(Multi Protocol Label Switching)ネットワークでは品質設定(サービスクラスの設定)により、ビデオを優先的に処理することが可能になることを説明する。社員がビデオセッションの確立に苦労した場合は、新しいマネージドサービスではワンタッチシステムで通話が確立され、サポート担当者を24時間週7日、いつでも呼び出せることを説明する。
4. 社内キャンペーンの実施
こうした説明を踏まえ、ビデオ会議のメリットをアピールする社内キャンペーンをマーケティングチームに開始してもらう。どのようなタイプのビデオ会議がどこで可能か、各タイプのビデオ会議をどのようなプロセスで利用するかを明確に伝える。例えば、テレプレゼンスは役員だけが利用できるのか、あるいは特定の種類の会議でのみ利用できるのか、デスクトップビデオ会議は、誰でも利用できるのかなどを明確にする。出張コストの削減や、地理的に分散した社員間のコラボレーションの向上が可能になることを訴え、ビジネスマネジャーのお墨付きを得る。
5. 徐々に始める
小規模な社員チームに、別のオフィスの同僚とビデオ会議システムを試用してもらう。この技術が有効に機能すること、簡単にセットアップできること、飛行機移動やホテル宿泊を不要にするとともに会議の生産性を高めることを実際に示す。
6. 草の根アプローチを取る
まず、こうした小規模チームのメンバーの支持を勝ち取る。彼らのあらゆる不満に耳を傾け、それらを解決し、ビデオ会議への彼らの支持を確かなものにする。さらに、口コミで宣伝してもらう。
7. ポリシーによるビデオ会議の利用促進で人事部門に協力を依頼する
既に39%の企業がビデオ会議に関連するポリシーを持っており、例えば、さまざまな会議についてビデオ会議の使用を義務付けたり、社員の出張が役員の決裁を経た上で行われるようにしている。
8. ビジネス効果を定量的に示す
出張コスト、社員の職種別の出張日数、電話会議の回数や長さといった指標を算出し、現状を把握しておく。ビデオ会議の効果を定量化するため、この技術の導入展開後も数四半期にわたってこれらの数字を算出、比較する。
こうしたステップを踏めば、ビデオ会議の最も重要な要素、つまり、その利用者を巻き込むことで、ビデオ会議のビジネス活用を円滑に進めることができるだろう。
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