豊富なシステム構築ノウハウでExchangeのパフォーマンス最大化を実現:富士通「Exchange Server 2010」特集
富士通と日本マイクロソフトが見せる取り組みの1つとして、統合メッセージング基盤「Microsoft Exchange Server 2010」でのソリューション展開を紹介する。
富士通は、2009年3月にエンタープライズ市場におけるソリューションビジネスでマイクロソフト(当時)と包括的な協業を開始した。以降、両社は富士通のハードウェアやシステム構築技術と、日本マイクロソフト(以下、マイクロソフト)の各種基盤ソフトウェアを組み合わせたさまざまなソリューションを展開している。その中でも、今回フォーカスしたいのが、統合メッセージング基盤「Microsoft Exchange Server(以下、Exchange Server)2010」への取り組みだ。
富士通では、Exchange Serverについては初期バージョン「4.0」から日本市場での販売を手掛けてきた実績を持つが、最新版Exchange Server 2010についても開発の早期段階から関わっており、マイクロソフトの技術検証プログラムに参画するなど、機能や性能の検証を進めてきている。
現在は、Exchange Server 2010に対応した製品およびサービスとして、メール誤送信防止製品「SHieldMailChecker」、ID管理製品「Account Agent」、VSS高速バックアップ製品「ETERNUS SF AdvancedCopy Manager」、携帯連携サービス「FENICS II ユニバーサルコネクト」、クラウドサービス「Exchangeビジネスメールサービス」を展開。これだけ豊富なExchange Server 2010関連のソリューションをそろえているベンダーは、富士通の他にはないだろう。
そしてこのほど、マイクロソフトのWebサイトで「Exchange Server 2010 ホワイトペーパー」(可用性ガイド、サイジングガイド)を公開した。このホワイトペーパーは、Exchange Server 2010の設計・構築の重要なポイントについて、検証結果を基に解説したものとなっている。
Exchange Server 2010を徹底的に検証した富士通 プラットフォーム技術本部 ISVセンター MSミドルウェア技術センターの堀内啓士氏は、Exchange Server 2007からExchange Server 2010へのバージョンアップに伴い機能強化されたポイントをこう指摘する。
「Exchange Server 2010は、パフォーマンスと可用性が飛躍的に向上している。特に注目されるのが新機能の『DAG(Database Availability Group)』。旧バージョンまでは、メールデータを共有するためには、1つのストレージに複数のサーバを接続する方法が主流であった。DAGでは、メールボックスサーバのグループ内でデータベースを複製することができ、サーバを物理的に接続しなくてもネットワーク上でメールデータを共有できるようになった。これによって、メールシステムの設計を柔軟に行うことが可能となった」(堀内氏)
また、「DAG」を活用することで、障害が発生した場合でも、別のサーバ上のデータベースにフェイルオーバーすることができるため、遠隔地のメールサーバなどを災害対策時のバックアップとして活用できるのも大きな特徴だ。
もう1つ、堀内氏が注目する新機能が「パーソナルアーカイブ」である。「従来までは、全てのメールデータを同じストレージに保存する必要があったが、パーソナルアーカイブを使えば、古いメールデータを異なるストレージに分けて保存することが可能となる。例えば、メインで使う新しいメールデータはハイスペックのストレージに保存し、重要度の低い古いメールデータについては安価で大容量のストレージを利用することで、メールシステム全体のコストを抑えることができる」(堀内氏)と、そのメリットを説明する。
「これらの新機能に加え、Exchange Server 2010は基本性能が大幅にアップしていることも見逃せない」と堀内氏。マイクロソフトでは、検証環境下において旧バージョンExchange Server 2007に比べて、Exchange Server 2010はI/O性能が2倍強改善されたと発表しているが、「富士通の実施した検証結果でもこれを確認することができた」(堀内氏)という。
堀内氏は、「これまでは、可用性を確保するために、SAN環境を構築するのが基本だった。しかし、I/O性能が向上したExchange Server 2010では、小・中規模のメールシステムであれば、バックアップ機能『VSS(Volume Shadow Copy Service)』などを活用することで、サーバに内蔵された1、2台のディスクのみで可用性を確保することができる。ただ、内蔵ディスクに収まらない規模のメールシステムの場合は、SAN環境を構築することを推奨している」(堀内氏)と説明する。
さらに、このI/O性能の高速化は、メールシステムのパフォーマンス向上だけでなく、コスト最適化にも関係してくるという。なぜならば、「従来のバージョンでは、容量的にはディスク1台で間に合っているところを、I/0性能を高めるために、複数ディスクを用意せざるを得ないケースも多かった」(堀内氏)というのである。これに対して、Exchange Server 2010では、I/O性能を気にすることなく、必要な容量分だけディスクを用意すればよい。例えば、旧バージョンではファイバーチャネルで高速ディスクを利用してきたものを、回転数が低い低コストの大容量ディスクに置き換えることも可能となる。
「ただ、I/O性能が高まったからといって、単純に安いディスクに置き換えようと考えるのは避けた方がよい」と堀内氏はアドバイスする。「コストを優先してディスクの性能を下げすぎると、結果的にI/0性能まで低下してしまい、そのパフォーマンスを最大化することはできない。そこで当社では、Exchange Server 2010への移行支援に当たり、お客さまに現状のメールシステムの利用環境を洗い出してもらっている。何人のユーザーで利用しているのか、メールの保存容量はどれだけ必要なのか、また、どのくらいの頻度でメールがやりとりされているのかなど。こうした情報を基に、メモリ、ストレージ、サーバのスペックを検討し、コスト最適化を図りながら、パフォーマンスを最大限に引き出すシステム構成を提案している」(堀内氏)と、自社でハードウェアを扱っている富士通だからこそ、コスト最適化とパフォーマンス最大化を両立できると自信を見せた。
なお、富士通では、Exchange ServerのWebサイトに、同社推奨ハードウェアを一覧にまとめた導入システム構成例を紹介している。利用ユーザー数による導入規模に合わせて、各システムの構成例を記載しているので、Exchange Server 2010導入検討の参考になるだろう。
このように富士通では、Exchange Server 2010への移行・導入、システム構築において豊富な実績とノウハウを持っているが、昨今のクラウド化へのニーズに対応し、クラウドサービス「Exchangeビジネスメールサービス」も展開している。
「Exchangeビジネスメールサービス」は、館林にある同社データセンターをベースに、「Exchange Server 2010」をサービス形態で提供するもの。プラットフォームには、高信頼の富士通クラウド基盤「Trusted-Service Platform」を活用し、サービス専門要員「ExchangeサービスSE」および「Exchangeサービスデスク」が確実なサービス運営を実施する。
「自社内ではメールシステムの構築が難しい企業や、メールシステムの運用負荷を抑えたい企業などを中心に、今後、クラウドサービスへのニーズはさらに高まってくるとみている。当社のExchangeビジネスメールサービスは、個別カスタマイズにも対応しているので、顧客ニーズに最適化したExchange Server 2010のクラウドサービスを提供することができる」(堀内氏)としている。
Exchange Server 2010への移行・導入、システム構築からクラウドサービスまで、あらゆるニーズに対応できる富士通は、今Exchange Server 2010を検討している企業にとってベストプラクティスといえるだろう。
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