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「GPT-4o」を仕事に使うなら“これだけは知っておくべき”基礎知識:ビジネス向けGPT-4o活用ガイド【後編】
OpenAIが2024年5月に発表した「GPT-4o」は、具体的にどのようなビジネスユースケースに使えるのか。導入前に知っておきたい懸念と併せて解説する。
人工知能(AI)ベンダーOpenAIは2024年5月、大規模言語モデル(LLM)「GPT-4 Omni」(GPT-4o)を発表した。本稿はビジネスへのGPT-4o活用を検討する企業向けに、そのユースケースと導入時の注意点について解説する。
GPT-4oのビジネス向けユースケースと注意点を解説
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連載:ビジネス向けGPT-4o活用ガイド
AI活用ノウハウを解説
GPT-4oの主要なビジネス向けユースケースとして、以下が挙げられる。
- データ分析
- 一般的に、企業の意思決定プロセスでは大量のデータを活用する。しかし、専門的なデータ分析部門を持たない企業も少なくない。GPT-4oでデータ分析を民主化することで、表計算ツール「Microsoft Excel」のような基本的なツールしか使ったことがない従業員でも、容易にデータ分析に取り組めるようになる。
- カスタマーサポートの自動化
- カスタマーサポートを外部委託していたり、既に自動化していたりする場合も、GPT-4oを活用することでさらに速くて賢い応対ができるチャットbotを構築できる。音声をテキストに変換するAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)「Speech to text」を使えば、音声によるカスタマーサポートも実装できるため、UX(ユーザーエクスペリエンス)を強化できる。
- ドキュメントとナレッジベースのフロントエンド
- GPT-4oを社内のドキュメントリポジトリやポータルサイトと連携させることで、自然言語を用いた検索システムとして利用できる。AIチャットbot「ChatGPT」をカスタマイズできる機能「GPTs」(GPT Builder)を用いて、営業マニュアルや社内ポリシーなど広範なドキュメントにアクセスできるよう設定すれば、従業員が必要な情報に簡単にアクセスできるようにする。
GPT-4o導入の懸念は?
GPT-4oの導入に当たり、以下のような点が懸念されている。
- 情報漏えいのリスク
- ユーザーはGPT-4oを企業のデータリポジトリと直接つなげられるため、簡単に社内の情報を引き出して使えるようになった。その結果、情報漏えいやプライバシーに関するリスクは増している。
- データ供給の仕組み
- GPT-4oの正確性や情報の鮮度を保つためには、常に新しいデータを取り入れる必要がある。このデータを供給するための仕組みが整備されていない場合、管理が難しくなり、ユーザーの負担は大きくなる傾向にある。
- 人間による監視の必要性
- GPT-4oで生成したコンテンツは、人間による監視が必要だ。特に専門性の高い業界では、AIモデルが業界独自のニーズや専門用語をうまく理解できない場合がある。AIモデルが出力した内容を常に検証するとなると、チームの負担は大きくなってしまうため、AI導入の効果が薄れてしまう可能性がある。
- OpenAI内部の混乱
- OpenAIの共同創業者であるジョン・シュルマン氏とイリヤ・サツケバー氏をはじめ、同社の上級職の退職が昨今話題になった。その影響で、同社の事業や技術面、セキュリティに対する不安が広がっている。企業の内部で問題が起きた場合、顧客企業に影響を与える可能性もある。企業向けChatGPTプラン「ChatGPT Enterprise」の導入を検討しているような企業にとって、これは見過ごせない状況だ。
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