AppleはiPhoneのブラウザ、メール、カレンダーを改善すべし:AppleがiPhoneを改善すべき10のポイント(前編)
iPhoneの成功の理由の1つは、そのシンプルさにある。だが、「シンプル過ぎる」点も少なくない。筆者が主張する、「Appleにぜひ考慮してもらいたいと切に希望すること」とは?
米AppleのiPhoneは大人気を博しており、iPadはタブレット端末市場を完全に支配している。だがこれら両方の端末に搭載されているOS「iOS」にはまだ改良の余地が多い。
スマートフォンが人気を集めている理由の1つはそのシンプルさにあるという点は私も理解している。そしてスマートフォンが最小限のハードウェアで素晴らしい性能を実現しているのは、不要な機能を詰め込んでいないからこそだ。それでもやはり、AppleのiOSにはまだ改良の余地がある。
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本稿では、私がティム・クック氏(Apple CEO)とAppleにぜひ考慮してもらいたいと切に希望することを10のポイントにまとめた。
1. ウィジェットを配置できるようにする
iPhoneのアプリランチャーはひどくシンプルだ。確かに、シンプルであるが故のメリットはある。だが、このランチャーは簡素化され過ぎていて、iPhoneの全体的な有用性を制限している。そろそろAppleもホーム画面でウィジェットを使ってみるべきだ。
ウィジェットがどのようなものだがよく分からないようなら、アプリランチャーにアイコン以外のものも表示されている状態を想像するといい。小さなウィンドウが幾つか表示され、それぞれに新着メール、カレンダーに登録してある今後のイベント、さらには天気などの情報が表示されている状態だ。
こうしたウィジェットがあれば、iPhoneのホーム画面を眺めるだけで、自分のiPhoneに届いている各種の情報の最新の状態を即座に把握できる。現状では、それと同じ情報を把握するには、アプリを3つも4つも開かなければならない。
Appleは既にMac OS XではDashboard機能でウィジェットをサポートしている。iOSでも同じことを行っていいころではないだろうか。
2. ロック解除画面をもっと便利な画面にする
iPhoneのロック解除画面を見れば、スペースの壮大な無駄遣いであることは明らかだ。この画面はもっと活用できるはずだ。
例えば、ステータスアップデートの提供もその1つだ。「未読メールが何件あるか」「カレンダーに登録されている差し迫ったイベントには何があるか」「不在着信がなかったか」といったことは、スマートフォンのロック解除を行わなくても確認できるべきだ。
ウィジェットで確認したい情報と内容がかぶっていることは承知している。それだけ重要な情報ということだ。こうした情報は個々のアプリの中にしまっておくのではなく、iPhoneが収集し、ユーザーが一目で確認できるようにするべきだ。もしAppleがこれを実現してくれれば素晴らしい。同社は実際、少なくともこのうちの1つは実行すべきだ。
3. Webブラウザを改良する
iPhoneが2007年に発売された当初、その最大の強みの1つは、それまでのモバイル端末で提供されていたどのWebブラウザよりもはるかに高性能なWebブラウザが提供されたという点だった。初代iPhoneのWebブラウザは非常に高速で、全てではないが多くの標準をサポートした。これは実に画期的な変化だった。
それから何年かたち、ユーザーがスマートフォンのブラウザに求めることも大きく変化した。単に高性能なだけでは、もはや十分ではなくなったのだ。われわれはスマートフォンでも、デスクトップPCやノートPC上のブラウザと同じくらいに強力なブラウザを使えることを期待している。そして、そうでないブラウザには大いに不満を感じる。
米Microsoftはこの点をよく理解している。同社は、Windows Phone 7.5には一切妥協なしのフルバージョンのInternet Explorer 9を搭載すると明言している。Microsoftにできるのであれば、Appleにだってできるはずだ。
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米国では、「インターネットにアクセスするための主要な手段はスマートフォン」というユーザーが増えている。Appleが今の勢いを維持したいのであれば、もはや同社のエンジニアには「このくらいで十分」などと言っている余裕はないはずだ。現状では、iOS版SafariはMac OS XやWindowsで利用できるブラウザよりも何年も後れている。そのため、iPhoneやiPadでは、あまりに多くのWebサイトの表示が判別不能だ。
4. カレンダーを改良する
皆さんの中には誤解している向きもいるかもしれないが、スマートフォンはPDA(携帯情報端末)から発展したものではない。PDAは全く異なる分野に重点を置いた、全く異なるカテゴリの製品だ。その結果、PDAの主要な特徴の1つであった非常に高性能なカレンダー機能は、iPhoneではほんのお飾り程度の存在になっている。確かにiPhoneでも、シンプルなカレンダーイベントであれば作成できる。だが、PDAユーザーが重宝していた各種のオプションは提供されていない。
例えば、Palm Pilotの時代までさかのぼれば、当時はPDAを使って生活全般を丸ごとオーガナイズできていた。今では、それがはるかに難しくなっている。例えば、月曜と水曜と金曜に開かれるクラスがあるとする。iPhoneでは、こうした繰り返しのイベントは設定できない。では、毎月第2火曜日に開かれる会議についてはどうだろう? こちらも同じく、無理だ。
さらに私はアラーム音が変更できるようになることを切に希望する。現在の唯一の選択肢はあまりに物足りない。
5. メールアプリを改良する
どのスマートフォンユーザーにとっても、メールはスマートフォンを利用する主要な目的の1つであるはずだ。だからこそ、iOSのメールアプリに幾つか重要な機能が欠けているのは残念なことだ。
何よりもまず、署名を1つしか使えないのはバカげている。私は仕事とプライベート、両方のメールをこの端末で管理しているため、プライベートなメッセージからは仕事用の署名を手作業で削除しなければならない。
また携帯端末をベッドサイドテーブルに置いて眠る習慣のある人間として、私は夜間には自動的にメール機能をオフにできることを切に希望する。だがiPhoneでは、これができない。それどころかiPhoneは律義に音を鳴らして、スパムが届いていることを午前3時30分に知らせてくれる。そしてその後も3時45分、4時……と15分おきに知らせてくれる。
1つのメールに複数のファイルを添付する機能も、とっくに提供されていていいはずだ。最近ではスマートフォンやタブレット端末を本格的な仕事に利用するユーザーも多く、時には複数のファイルを送信しなければならないこともある。私の場合も、画像を幾つか送る必要があるときは、「メールを3通送ります」などと相手に断りを入れておかなければならない状況が続いている。
もう1つはどちらかと言えばハードウェアの問題だが、Appleは自社のスマートフォンにステータスLEDを追加すべきだ。他社の端末は、部屋の向こうからでも端末を一目見れば、メッセージを受信したり、通話を逃したり、アラームが作動したりといった変化の有無を確認できる。だがiPhoneではそれができない。iPhoneの場合はこうした情報のどれを確認するにしても、まず電源をオンにして、ロック解除を行う必要がある。
後編では、キーボードやアプリスイッチャーなどに関する改善点を取り上げる。
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