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病院情報システムのクラウド化メリット 福井大学病院の場合「CIO研究会セミナー」リポート【前編】

仮想化技術を活用して病院情報システムのクラウド化を進めてきた福井大学医学部附属病院。クラウド化によるメリットは一体どれくらいあったのだろうか?

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 医療情報や病院経営をテーマとした講演や勉強会を行うCIO研究会は2011年12月9日、第9回目のセミナーを実施した。その中で、IT化を推進している病院の取り組みが発表された。本稿では、病院情報システム(HIS)のクラウド化を進めている福井大学医学部附属病院(以下、福井大学病院)の講演内容を紹介する。

HISを取り巻く現状

 1983年に開院した福井大学病院は、1日当たりの外来患者が1000人、病床数600床の規模。県内唯一の特定機能病院として、高度な医療の提供や医療技術の開発、医療研修などを実施している。

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福井大学病院の山下氏

 福井大学病院 医療情報部 副部長、山下芳範氏は「地方の大学病院は予算や人的な要員が足りず、とても厳しい状況にある」と語る。しかし、「そうした状況でも医療の高度化やIT化は飛躍的に拡大している。また、環境の変化に迅速かつ柔軟に対応できるシステムが必要になった」と説明する。

 山下氏によると「病院のIT化は電子カルテだけではなく、さまざまな医療機器で進んでいる。また、診療ナビゲーションなどの診療支援機器も多く登場している。そのため、医療情報の利用方法が全体的に変化している」という。

 診療情報がIT化されたことで、同病院では24時間365日稼働し続ける、止められないシステムの維持が求められ、エンドユーザーからは“いつでも、どこでも利用できるユビキタス”な環境が期待されている。さらに「確実かつ迅速な情報提供、医療安全のためのチェック機能、情報分析や2次利用に至るまで幅広い要望がある」とIT化のニーズを説明した。今後は、地域医療連携を視野に入れた外部連携も見据えなければならない。山下氏は「限られたコストや要員でどう応えるかを検討した結果、システムのクラウド化に着目し、トライアルを繰り返しながら進めた」と説明する。

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