クラウドストレージへの不安を払拭した医療機関の活用例:医療分野のクラウドストレージ導入【後編】
医療機関は患者情報など機密性の高い情報を保有するため、セキュリティの観点からこれまでクラウドの導入をためらってきた。しかし、クラウドに対する消極性から脱したところも幾つかある。
前回の「クラウドストレージサービスに慎重なヘルスケア産業」に続き、米国でIT化を進める医療機関がどのようにクラウドストレージを見ているかを紹介する。
クラウドストレージサービスに興味は示すが
北バージニアの非営利医療組織、Inova Health Systemは現在、クラウドストレージ導入の準備段階にある。ITインフラ担当ディレクターを務めるジョン・アンダーヒル氏はセキュリティを重要な課題と捉えており、「単に個人の医療情報を保護するだけでは済まない」と指摘する。「セキュリティは、情報の機密性だけではなく、完全性と可用性の保証も含まれる」と同氏。
さらに、もう1つ考えなければならないのは帯域幅の要求だ。外部のサービス事業者に対する帯域幅の確保にはコストが掛かる。「インターネットに依存する場合、一定の速度で確実に情報を検索できることも問題だ」とアンダーヒル氏は指摘する。
ソルトレイクシティの23の病院で構成するIntermountain Healthcareも、同じような状況にある。同機関の広報担当者によると、Intermoutainはクラウドストレージに向かっているものの、まだ戦略を決められずにいるという。
しかし、多くの病院システムは、クラウドストレージ導入に二の足を踏んでいる。ペンシルベニア州中部および北東部に展開するGeisinger Health Systemは、「セキュリティ、プライバシー、パフォーマンスに大きな懸念がある」として、現在クラウドストレージを利用していない。
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