2012年上半期、仮想化で最も読まれたホワイトペーパーは?:ホワイトペーパーレビュー ベスト10
仮想化に関するホワイトペーパーの中から、2012年上半期にダウンロード数が多かった上位10コンテンツを発表。全体の傾向と上位3コンテンツを紹介する。
TechTargetジャパン「仮想化」では、2012年1月1日〜6月30日の上半期にダウンロードされた仮想化に関するホワイトペーパーのダウンロード数上位10コンテンツを集計した。
ランキングを全体的に見ると、サーバ仮想化に関するホワイトペーパーが多いことが分かる。東日本大震災を機に話題になったデスクトップ仮想化に関するホワイトペーパーは10位のみだった。
サーバ仮想化の中でも特に関心が高かったのは、バックアップや災害対策だ(1位、3位、7位)。仮想化は、アプリケーションやOSをハードウェアから切り離す「ハードウェア非依存」、仮想マシンのファイルをコピーするだけでどこでも稼働させられる「カプセル化」の特徴を持つため、ディザスタリカバリ(DR)サイトの構築を容易にする他、データの移行やリカバリステップを簡単にする手段となり得る。
また、2位のように単なるサーバ統合ではなく、プライベートクラウドを視野に入れたサーバ仮想化導入にも高い関心が集まっていることがうかがえる。
順位 | ホワイトペーパータイトル | 提供ベンダー |
---|---|---|
1位 | 「プリキュア」の東映アニメが選択、マニュアルいらずのVMwareバックアップ手法とは? | シマンテック |
2位 | 200台のサーバ仮想化、ベネッセのプライベートクラウド構築プロジェクト | 富士通 |
3位 | 昔の常識は現在の“非常識”。仮想環境保護の促進のポイントとは? | CA Technologies |
4位 | VMware仮想環境の構築に成功した中堅・中小企業の共通点 | デル |
5位 | 仮想化のメリットを生かしきれないデータセンターの共通点 | ヴイエムウェア |
6位 | Windows XPからWindows 7へ──大規模企業向け移行ガイド | 日本マイクロソフト |
7位 | 仮想化で災害対策をする時に考慮しなければならない10のポイント | ネットアップ |
8位 | クラウド基盤ソフトウェア比較表 〜Eucalyptus、CloudStack、OpenStack | アイティメディア |
9位 | 仮想化、クラウドでなぜネットワークは変わらなければならないのか? 〜担当者のための成熟度診断テスト付き | ブロケード コミュニケーションズ システムズ |
10位 | VMware Viewによるデスクトップ仮想化がもたらす業務効率の向上とは? | ネットワールド |
今回はランキングから上位3つのホワイトペーパーを紹介する。
1位:80システムをたった2人でバックアップ&管理
「プリキュア」の東映アニメが選択、マニュアルいらずのVMwareバックアップ手法とは?
本ホワイトペーパーでは、東映アニメーションが構築したVMware環境向けのバックアップシステムについて紹介している。
半世紀にわたり約1万タイトル以上ものコンテンツを提供してきた東映アニメーション。同社のビジネスを支える約80台のサーバは、ほぼVMware上で仮想化されている。この規模なシステムを、わずか5人の情報システム部で運用・管理しているという。バックアップを担当するのは、そのうちのわずか2人だ。
今回、これまで使っていた他社製のイメージバックアップツールなどを見直し、新たなバックアップツールとして「Symantec Backup Exec」に統合した。同社がBackup Execを選んだ理由とは? ホワイトペーパーでは導入効果についても書かれている。製品の選定から実装までを、できる限り自分たちでこなしているという同社の事例は、多くのユーザー企業にとって参考になるはずだ。
2位:サーバ仮想化からプライベートクラウドに向かう事例
200台のサーバ仮想化、ベネッセのプライベートクラウド構築プロジェクト
ベネッセグループのITサービス会社であるシンフォームは、ここ数年の事業成長などに伴うシステムの規模拡大に課題を抱えていた。物理サーバは毎年100台以上も増え、データセンターの設置スペースは枯渇し、消費電力はうなぎ登りの状況だった。
そこで同社はサーバ仮想化を実施。結果、サーバの設置スペースは大幅に減り、消費電力を10分の1に削減するなどの劇的な効果を上げられたという。今後は、2014年に1200台あるサーバの8割を仮想化しプライベートクラウドを構築していく計画だ。なぜ同社はサーバ仮想化だけでなく、プライベートクラウドに向かうのか。
また、サーバ仮想化後のパフォーマンスは物理サーバと大差がなかったという。同社が導入したハイパーバイザーやハードウェア製品とは何か。さらに、サーバ仮想化の導入や運用が未経験だった同社が成功できた理由とは。これらの詳細はホワイトペーパーでご確認いただきたい。
3位:仮想環境の成長に合わせた運用管理の課題
昔の常識は現在の“非常識”。仮想環境保護の促進のポイントとは?
サーバ仮想化の導入によって、多くの企業がコスト削減や生産性向上といったメリットを享受してきたはずだ。だがホワイトペーパーは、「サーバ仮想化で十分な利益を得るためには、最適な管理手法を見いだす必要がある」と警鐘を鳴らしている。なぜなら、仮想マシンは作成が容易なだけに、増加・拡散することが物理サーバのときよりも重大な問題につながりやすいからだ。仮想化への移行は単なる出発点にすぎず、新しい運用上の課題にどう対処していくかが重要となる。
このホワイトペーパーでは、データ保護(バックアップ)と災害復旧にフォーカスし、物理/仮想環境の統合管理を成功させるコツを紹介している。また、仮想環境の成長に合わせた課題も提示。さらに、CA Technologiesの運用管理製品「CA ARCserve」ファミリーの機能についても触れている。
仮想化によって初期投資の効果を最大化したいIT管理者にはぜひお薦めしたい。
今回紹介したホワイトペーパー以外にも、ホワイトペーパーダウンロードセンターでは、仮想化に関する技術文書や製品資料、事例紹介などを掲載している。ぜひダウンロードしてご活用いただきたい。
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