数値で見る、「突合点検」「縦覧点検」実施による診療所への影響:【連載コラム】医療ITの現場から
2012年3月審査分から実施されているレセプト請求における「突合点検」「縦覧点検」の数値が公表された。今回の変更による診療所への影響を考察してみる。
2012年3月審査分の「突合点検」「縦覧点検」を公表
社会保険診療報酬支払基金(支払基金)は2012年3月、レセプト審査強化の一環として「突合点検」「縦覧点検」を開始しました(※)。多くの医療機関や関係者がその動向を注意深く見守っていました。支払基金は5月に2012年3月審査分の確定値を公表しています。
※ 東日本大震災の被災地域である岩手県、宮城県、福島県の医療機関や保険薬局は当面6カ月間の実施猶予期間が設けられています。
突合点検とは、処方せんを発行した医療機関の医科・歯科レセプトと調剤を実施した薬局の調剤レセプトを患者単位で照合する審査のことです。2012年3月以前は1500点以上の調剤レセプトのみを対象にしていましたが、2012年3月以降は全レセプトが対象となりました。また点検の結果、病名漏れなど記載内容が不適切であった場合は医療機関への支払額から差し引かれます。縦覧点検とは、1人の患者の過去6カ月のレセプトを対象に医療機関単位でその妥当性を検証する審査のことです。重複請求などの不整合がある場合、医療機関への支払額からその金額が差し引かれます(関連記事:レセプト審査の強化とIT化の恩恵)。
支払基金の公表によると、3月審査分の医科歯科全体の査定件数は60万8000件、そのうち突合点検が10万5000件(19.5%)でした。突合点検の査定点数は3102万点で、その金額は3億1020万円となります。また、縦覧点検の査定件数は1万4000件(2.5%)で、その査定点数は423万点で4230万円となりました。
3月審査分の数値を前月2月の審査分と比較してみましょう。2012年2月の査定件数は全体で50万5000件、査定点数は2億4236万点でした。査定件数では10万3000件、査定点数では1億1014万点の差があります。この差は、3月分の突合点検の査定件数の規模に一致します。また、2012年3月審査分の縦覧点検では過去1カ月分のみのレセプトが対象となりましたが、今後は1カ月ごとのデータを支払基金のサーバに蓄積して、それらと照らし合わせて点検されることになります。
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